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報道の自由度を妨げるものは

4/25(木) 11:02配信

Japan In-depth

2.メディア側の自主規制の問題

また、メディア自体が自主規制をかけている現状について議論された。記者側自らが取材したことを、時として記事に書かないという傾向があるという。これはどういうことなのか。

例えば、テレビ報道では番組の視聴率をとることが重要視されるため、数字がとれない内容と判断されれば、そのニュースは報道されない。これが記者側の「どうせ報道されないなら」という心理を働かせ、「めんどくさくなりそう」なことは避けるようになってしまった。この現実に関し、「20年以上前から記者は面倒なことを避けるようになり、番組側と取材部とのせめぎ合いがなくなった。テレビ報道の自由は、テレビ自らがそれを放棄している」と安倍氏は主張した。

「ブラックボランティア」の著者である本間氏も、この現状を身をもって体感している。「商業イベントの五輪で、莫大な利潤を上げているのが組織委員会であり、4000億円以上のスポンサー収入を仕切る広告代理店がある。公共の福祉も公益もほとんどないものに無償ボランティア、というのは大きな問題がある。」という意見に対し多くの記者が共感したという。しかし、記事になることはほとんどなかった。既存メディアも五輪スポンサーであるため、事なかれ主義に陥っていると指摘した。

また、新聞社、雑誌の世界が長い山口氏は、「権力者が情報をコントロールしたいのは当たり前のことであり、それに対抗する気骨ある記者が減っている。」と述べた。その原因として、雑誌、新聞の売り上げの著しい低下を挙げた。売り上げを上げるために、以前は意識していなかったスポンサーや広告会社のことまでを意識して働くようになり、それが忖度しやすい雰囲気をつくり上げたのではないかと述べた。実際に山口氏も「入社した時は、編集部の人間が、スポンサーがどこでいくら出しているということなんて、知らない世界だった。今では編集長は広告がいくら、ということを頭に入れて働いている。企業批判の記事の場合は何重にも確認されて、ようやく日の目をみるかみないかの世界になった。」と現場の実態を伝えた。

杉尾氏も「数字(視聴率)が取れないことをするのは商売の邪魔と考え、記者が事なかれ主義で面倒なことを避ける風潮ができてしまった。これは、既存メディアの退化だと思う。」と述べた。

さらに本間氏は、「若い世代はネットを使いこなしていると僕らは思ってるいるが、彼らはツイッターに意見なんか書き込みませんと言う。そういうことをすると、履歴が残って就職のときにマイナスの評価を受けるから。と。」と自分の投稿履歴が将来の就職活動に響く可能性を考え、個人の意見を自己規制どころか、発信すらしなくなる若者が増えていることを伝えた。

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最終更新:4/25(木) 11:02
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