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縄文人は戦争を誘発する農耕を拒んだ?

4/25(木) 12:43配信

PHP Online 衆知(歴史街道)

縄文人が水田稲作をはじめていた証拠

長い間、弥生時代は「弥生土器を使用した時代」と考えられていた。しかし、考古学の進展によって、この定義が揺らぎつつある。弥生土器=遠賀川式土器の出現と共に、水田稲作が始まったというかつての常識は、もはや通用しなくなったのだ。縄文から弥生時代への移り変わりがグレーゾーンに入った。近年しきりに耳にするのは、「縄文と弥生の境目がわからなくなった」という話である。

縄文土器を使っていたのが縄文時代で、弥生土器を使っていたのが弥生時代と考えているようでは、もはや時代遅れなのだ。土器は技術が伝承され、文化は継続されるのだから、はっきりとした時代区分はできないというのが、すでに常識となりつつある。弥生土器のような縄文土器があるかと思えば、縄文の息吹を感じさせる弥生土器もある。境界線が、じつに曖昧なのだ。

ならば、稲作をはじめた地域から、弥生時代は始まったと言い換えればよいのだろうか。

ところが、稲作をはじめた地域の人間の使う道具が縄文的な香りを残していたりする。いつから、その地域が弥生時代に突入したのかも、線引きが難しくなってきた。だから、「縄文晩期末にすでに稲作は始まっていた」、「いや、稲作が始まった時点で、それはもうすでに弥生時代だから、弥生時代早期と呼ぶべきだ」と、色々な区切り方が生まれてきてしまうのだ。

昭和53年(1978)から翌年に板付遺跡(福岡県福岡市)の調査が行われ、弥生時代をめぐる学説の迷走は始まったのだ。縄文時代晩期と信じられてきた夜臼式土器の時代の遺跡から、水田遺構と木製の鍬、石製の穂積具(石包丁)、炭化したコメ(ジャポニカ)がみつかった。明らかに「縄文人が水田稲作をやっている!!」という、それまでの常識では考えられない事態に、みな戸惑ったのである。発掘に携わった山崎純男は、これを「縄文水田」と、断言した(森岡秀人・中園聡・設楽博己『先史日本を復元する4  稲作伝来』岩波書店)。

水田遺構は、幹線水路、井堰、出水路、排水路、畦畔など、しっかりとしたものだった。

水田から水が流れ落ち、下の段の水田に水を供給するシステムまで、すでに登場していたのだ。水田のあとには、人の足跡が残されていて、福岡県警の鑑識も協力し、身長164センチという、当時にしては高身長だったこともわかった。縄文時代から継承された生活道具で暮らしながら、新来の水田技術を駆使していた様子が浮かび上がってくる。

ちなみに、遺跡のある「板付」は、福岡空港のすぐ脇で、かつてこの空港は板付空港とも呼ばれていた。それはともかく、夜臼式土器は、刻目をもつ突帯文土器で、縄文土器の伝統を継承していた。興味深いのは、戦後すぐ、板付遺跡で板付1式土器が発見されていたこと、その後北部九州では、夜臼式土器と板付1式土器がともに出土する例が多かったが、板付1式土器は、遠賀川式土器の最古の物と位置づけられていたことだ。遠賀川式土器といえば、弥生前期を代表する土器である。

考古学者はこう判断した。夜臼式土器は縄文時代の終わりに、板付1式土器は、弥生時代の始まりに作られた、というのだ。つまり、板付遺跡は、縄文から弥生への過渡期の遺跡ということになろうか。

一方、昭和54年(1979)に、菜畑遺跡(佐賀県唐津市)で夜臼式土器よりも古い、山ノ寺式土器と同時代の水田が出現したのだ(ちなみに、その後、この水田が夜臼・板付1式まで時代が下ると、報告は変更されるのだが)。また、弥生時代前期と見なされていた石器が、出土していた。

昭和55年(1980)には、曲田遺跡(福岡県糸島郡二丈町)の住居跡から、夜臼式土器よりも古い突帯文土器(曲り田式)と共に、大陸系の磨製石器だけではなく、なんと鉄器まで埋まっていたのだ。

縄文晩期から弥生時代中期にかけて、日本の土器が朝鮮半島南部に流れ込んでいたこともわかってきた。釡山市の東三洞貝塚から、九州の縄文土器が大量に発見されてもいる。

北部九州沿岸部に朝鮮半島の土器がもたらされるようになったのは、弥生時代前期後半ごろだ、しかもその規模はわずかで、先住の民の集落の片隅に、渡来系の人びとが、肩を寄せ合って暮らしていたイメージだ。そして、その後、集落の人びとと融合し、同化していったのである。

この結果、縄文時代晩期末と弥生時代前期が、交錯してくることがわかってきたのだ。縄文時代から弥生時代に切り替わったというよりも、少人数の渡来とともに縄文人が水田稲作を受け入れ、次第に、朝鮮半島からもたらされた文化に染まっていったことがわかってきた。

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最終更新:4/25(木) 13:45
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