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Stage 『BLUE/ORANGE』~新訳で、配役も変わって再び

4/25(木) 7:02配信

中央公論

文・ 河合祥一郎 東京大学教授

 二〇〇〇年にロンドンで初演され、翌年ローレンス・オリヴィエ賞最優秀新作賞を受賞した作品。二〇一〇年の本邦初演では、作中で境界性人格障害と診断されるアフリカ系の青年クリスを演じた成河(ソンハ)が第一八回読売演劇大賞優秀男優賞を受賞した。九年ぶりの再演だが今回は、翻訳、演出、配役を新たに上演する。
 舞台はロンドンの精神科病院。研修医ブルースとその上司ロバート医師は、患者のクリスを退院させるかどうかで意見が食い違う。ブルースは、クリスが実は統合失調症ではないかと疑い、更なる治療が必要だと主張するが、ロバートはベッド数が足りないと言い、波風を立てずに自分の出世だけを考えていればいいと、高圧的な態度で反対する。
 初演時にはロバートを中嶋しゅう、ブルースを千葉哲也(初演・再演とも演出を兼ねる)が演じていたが、今回、千葉がロバートを、成河がブルースを演じる。クリス役は、『テイク・ミー・アウト2018』でゲイを告白するメジャーリーガーのダレン・レミング役を繊細に演じ、最近大きな注目を集めている章平だ。
 患者が器に盛られたオレンジの色をブルーだと答えたのは、統合失調症だからなのか。それとも研修医の求める答えを与えたにすぎないのか。研修医が執拗に主張することが本当に正しいのか、観客にはわからない。正気を失っているのは患者なのか、研修医なのか。
 たった三人で演じる緊迫したこの会話劇は、権力、エゴ、人種に対する偏見など現代の問題をも抉り出してゆく。新国立劇場演劇部門芸術監督の小川絵梨子による新訳にも注目したい。

2019年4月28日(日)まで
東京・渋谷、DDD青山クロスシアター
全席指定 7800円
お問い合わせ チケットスペース
電話 03・3234・9999

最終更新:4/25(木) 7:02
中央公論

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