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【世界卓球】世界6位・石川佳純の敗戦。だが、まだブダペストの舞台に彼女は立っている

4/25(木) 17:22配信

卓球王国

深夜のブダペスト。痛恨の敗戦後に石川が見せた矜持。 「情けないなと思います。90%くらい勝っていた試合だった」

 時計の針は夜の11時20分を指していた。メダル候補と目されていた石川佳純がベスト8を決める4回戦で敗れた。
 彼女が選手のつとめとして、ミックスゾーンでテレビとペン記者の質問に答えていけば、時計の日付は24日から25日に変わっていくはずだ。

 私は石川佳純ほど純粋に卓球と向き合い、明るい光を放つ選手を知らない。
 世界選手権個人戦ブダペスト大会、4月24日の夜、 彼女は混合ダブルスとシングルスに出場した。吉村真晴と組んだ混合ダブルスでは、3大会連続のメダルを確定させ、その2時間後にシングルスの4回戦で香港の杜凱カン(ドゥ・ホイカン)に最終ゲーム、リードを奪いながら痛恨の逆転負けを喫した。
「情けないなと思います。90%くらい勝っていた試合だった。自分の力は出せたわけではないけれど、悪いなりに何とか粘って最後まで頑張った。でも、最後の詰めが甘かった」と彼女は絞り出すように言葉を発した。世界ランキングでは6位の石川と12位の杜。しかし、このくらいの差はトップ選手同士ではないに等しい。

 試合の出足から石川のプレーはしっくりこない。レシーブに迷いが出て、一気呵成に打ち抜いていく石川の卓球ではなかった。少しでも躊躇すれば、杜は強烈な両ハンドの連打で主導権を奪ってくる。混合ダブルスでメダルを決めてから、すぐの試合だったことが影響を与えたのかと問われると、「準備する時間が短いのは関係ない。みんなそうですから」と石川は語った。「バックハンドのミスが多かった。相手がゆっくりとしたタイミングで打ってきたのを焦って、打ち急いでしまった。レシーブがうまくいかなくて少し弱気な部分があったと思う。杜さんの手の内はわかっている。最後はミスが多かった。焦りと迷いがあった」(石川)。

 彼女は言い訳など用意していなかった。「うまくいかなかったのはどの部分なのか」と記者に問われると、数秒間の沈黙。そして、頭を抱え込みながらうずくまりそうになった。「自分でもわからないです。焦りかも、そして迷いも」と答えた。
 この1年間、石川の戦いは自分との戦いだった。熾烈を極める五輪代表の選考レース、しかし、その先にあるのは今まで成し得ていない世界選手権と五輪のシングルスのメダルではなかったか。

 彼女の卓球は見るたびにアグレッシブになり、その打球点は明らかにボール1個、2個分は早くなっていた。この数cmの差は0.2秒から0.5秒の時間でボールが飛び交う現代卓球では大きな変革であり、アドバンテージになる。石川の飽くなき探究心、強くなることへの欲求が止められないのは手に取るようにわかった。だが、速い卓球、アグレッシブな卓球を追求すればするほど、焦りや迷いという心の揺れが生じた時に、その卓球はわずかな狂いを見せることが、このシングルスの敗戦で垣間見えた。

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最終更新:4/25(木) 17:22
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