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私の台南、第二章:新しい“府城”の魅力を探して

4/25(木) 16:05配信

nippon.com

一青 妙

雑誌で相次ぐ台湾特集

「妙さん、日本の出版社が台南を取材しています」「台南で日本の作家を案内しています」「台南に日本のテレビ局が取材にきました」「阿妙!台南がまた日本の雑誌の表紙になったよ」

ここ1、2 年、そんな話が私のところに台南の知人からよく届く。

2017年の夏に、台南の街角が『BRUTUS』のカバーを飾り、大きな話題を呼んだ。2019年3月に再び『POPEYE』のカバーに台南が選ばれた。台湾特集といえば女性誌のグルメ・観光情報が中心。しかし、今は男性読者も多い総合雑誌でも台湾、特に台南が注目されている。とてもうれしいことだ。

『POPEYE』では、台南特集の中で「1泊2日」の台南旅として、2人の台湾人の若者が「葉家小卷米粉」「卓家汕頭意麺」「秘氏珈琲」「阿江炒シャン魚」「矮仔成蝦仁飯」など、私が自分の本で取り上げた台南の名店を食べ歩いている。

それだけではない。やはりこの3月、日本で長い歴史を持つ旅行ガイドブック『地球の歩き方』に『台南 高雄―屏東&南台湾の町』編が加わった。台南が高雄より大きく紹介されている。『日経おとなのOFF』4月号では台湾特集が組まれ、台湾らしさを極める場所として、台南が紹介されている。旅行会社のツアーパンフレットには、台南での宿泊コースが当たり前のように掲載されるようになった。

3月中旬、台南市政府で、王時思副市長から、黄偉哲市長名の親善大使委任状を渡された。そこで私はこんなあいさつをした。

「台南は、台湾に旅行に行く際の、台北以外の第一選択肢になりました」 

『私の台南』を出版してから5年、台南市親善大使になって4年がたつ。台南の魅力を伝えようと、日本各地で講演などに取り組んだ。その成果が少しずつ現実になっている手応えを感じる。だが、台南の発展と変化のスピードは想像以上に速い。私も台南への知識をアップデートしないといけない。

台南で建物をリノベーションしたカフェが続々登場

古い歴史的建造物をリノベーションしたカフェは台南の「売り」のひとつになっている。今までになかった新しいタイプのカフェも次々と誕生している。

観光地の安平にも近い中西区の台南運河沿いに、台南一インスタ映えするという評判の書店があると聞いた。白色に塗られた鉄骨にガラス張りの建物の2階にある「UBUNTU BOOKS烏邦圖書店」だ。

扉を開いた瞬間、本の匂いとコーヒーのいい香りが漂ってきた。店の2面の全面ガラスから、店内には溢れんばかりの光が降り注ぎ、視線の先には、緑と運河が広がっている。想像以上に快適な空間だ。

書籍を陳列する棚は全て腰高止まりで、圧迫感がない。壁一面に並ぶ本は何冊あるのだろうか。まるで図書館にいるような気分に浸れる。弧を描く階段は店内に優しい雰囲気を醸し出し、気に入った本を手に自然と腰を下ろし、パラパラとめくっていた。

オーナーは近くに住む台南生まれの李さんだ。1964年生まれで製造業などの仕事を経験した李さんはこの建物を手に入れたとき、生まれ育った大好きなこの地に何ができるかをまず考えてみた。見つけた答えが「書店」だった。スピードが求められるこのストレス社会でいちばん必要なのは、リバーサイドのカフェで、コーヒーを飲みながら、ゆっくりと腰を落ち着け、本を読むこと。そんなことをイメージしたという。

店内は書籍と、カフェスペースに分かれている。店の本は、自由にカフェスペースで飲みながら読むことができる。コンセントはない。読書とゆっくりとした時間を大切にして欲しいというオーナーの願いの表れだ。

決して大きくはないが、書店として日本の「TSUTAYA」や台湾の「誠品書店」の良さを取り入れながら、水と緑の景観美が加わった最高の空間になっている。

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最終更新:4/25(木) 16:05
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