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イニエスタが「バルサのようだ」と言った 直後、指揮官は神戸を去った

4/25(木) 8:01配信

webスポルティーバ

 今シーズン開幕以来、フアン・マヌエル・リージョが率いたヴィッセル神戸は、戦いの形を成熟させつつあった。

【写真】リージョの辞任で「バルサ化」は頓挫か

 ところが、開幕後にバルセロナから移籍してきたスペイン人MF、セルジ・サンペールが先発に名を連ねるようになって、失点を重ねている。第5節のガンバ大阪戦は3失点、第6節の松本山雅戦は2失点、そして第7節のサンフレッチェ広島戦は4失点。得点数は増したが、それ以上に守備の乱調は明らかだった。

 サンペールは1年以上、公式戦から離れていた。簡単に背後へボールを通され、シューターに対する寄せも甘かった。守備の負担を周りに強いていた。

「どうして無理にサンペールを使うのか? 寄せが甘く、背後へボールを通されている。明らかに攻守のバランスが悪くなっているよ」

 広島戦後、筆者はSNS通信アプリでリージョ監督へメッセージを送った。

「セルジを起用する理由は、いくらでも説明がつくぞ」

 リージョは、数分間の音声メッセージで饒舌に答えている。

「セルジは長い間、実戦から離れている。それだけに、試合勘はたしかにない。でも、あいつは誰よりもボールを速く走らせることができる。角度をつけ、ボールの流れを変えられる。自分はそのプレーを叱咤激励している。思った以上のセンスで、必ずこれからアジャストし、成果を出すはずだ」

 しかし4月17日、リージョは監督を”辞任”している。すでに監督は交代。スペイン人指揮官は未来の戦いを見据えていたが……。

「バルサ化」

 三木谷浩史会長が神戸を語る際、その言葉が繰り返し使用される。

 しかしながら、バルサの英雄であるジョゼップ・グアルディオラ(現マンチェスター・シティ監督)の”師匠”にあたるリージョ本人は、「バルサ化」という言葉を軽率に用いてはいない。

 バルセロナがどのように成り立っているクラブか。それを考慮すれば、2、3年では達成できるはずがないスケールの構想だからである。バルサは、かつて中央政府に迫害を受けたカタルーニャ人の”よすが”であり、強烈なアイデンティティを持つ。そこにヨハン・クライフという鬼才が世界的な選手を揃え、ラ・マシアという下部組織を整備。美しく勝つチームを作りあげた。

 それでも、リオネル・メッシを生み出すには15年以上の年月がかかっている。メッシになれなかった者たちはいくらでもいる。一朝一夕で起きた奇跡ではない。

 リージョは幻想を見なかった。そして、現場の選手たちをとことん鍛えた。現実を直視し、選手の特性を見抜き、その才能を少しずつ伸ばしている。どこにポジションを取れば、優位にプレーを動かし、攻守でアドバンテージを取れるのか。

「日本人の能力の高さを、私は日本人以上に信じている」

 リージョは笑顔でそう言って、選手には挑みかかるように、真摯に接した。

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最終更新:4/25(木) 8:01
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