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中国人が日本の新元号に異常なまでの関心を持つ理由

4/25(木) 6:01配信

ダイヤモンド・オンライン

 日本の新元号「令和」施行について、中国ではまるで自国のことのように関心を示す人が少なくない。なぜ、中国の人々は日本の元号に注目し、関心を持つのだろうか。(ジャーナリスト 中島 恵)

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● 日本の改元を わが事のように盛り上がる

 「今年の5月1日はちょうど中国も休日なので、朝からインターネットで日本の新元号に関する特別番組を見る予定です!」

 先日、大連在住の女性とウィーチャット(中国のSNS)でやりとりした際、彼女はウキウキした様子でこんな返信を送ってくれた。

 新元号「令和」の施行まであと数日。日本では「歴史的な一日」を前にさまざまな準備が進められているが、お隣の中国でも、なぜか日本の改元をまるでわが事のように気に留めて、ソワソワしている人が少なくない。

 5月1日は中国では労働節(メーデー)の祝日。この日からちょうど4連休となるため、旅行に出かける人も多いが、私がチェックしたSNSの中には「歴史的瞬間をこの目で見るために、いざ東京へ!」などという書き込みをする日本マニア(?)もいて、一部の人はやけに盛り上がっているようなのだ。

 中国人も日本の新元号にそんなに注目しているのか――。

 私がそう感じたのは4月1日のことだった。菅義偉官房長官による発表が行われたのは午前11時40分過ぎだったが、それから数分も経たないうちに、中国共産党機関紙「人民日報」でも「日本の新元号」に関する発表があった。中国の主要紙である「環球時報」などいくつもの媒体でも、同じような報道が続き、日本のメディアとほとんど変わらないほどの素早さだった。また、マスコミの報道を追いかける形で、個人がSNSに投稿する文章が目に飛び込んできた。

 「新元号は令和!恭賀!(おめでとう)」「安倍首相の安の字は、結局使われなかったんだ!」「平和にするということで、いい響き。いい元号だ」「新元号、ついに決定!」など、新元号に対する反応は、日本人のそれとほとんど同じようなものであり、そんなことが日本以外の国のSNSで繰り広げられ、彼らの関心がそれほど高いことに私はとても驚かされた。

● 新元号の典拠について 中国のSNSで相次いだ投稿

 よく知られているように、元号といえば中国が発祥だ。

 前漢時代の「建元」が最初だといわれており、日本人も世界史の授業で学んだ「康熙」(こうき)、「雍正」(ようぜい)、「乾隆」(けんりゅう)などがあるが、中国は1911年、清朝の「宣統」(ラストエンペラーで有名な宣統帝・溥儀の時代)を最後に、元号を廃止している。元号は、今では“本家”の中国にはなく、日本でのみ連綿と続いているものだ。中国人は、自分たちがすでに失ってしまったものだからこそ、それほどまでに興味や関心があるのだろうと思ったが、さらに驚いたのは、それから間もなくしてからだった。

 新元号の典拠について、安倍晋三首相は『万葉集』と発表していたが、中国人の間からは、典拠は(中国最初の詩文集である)『文選』(もんぜん)ではないか?という投稿が相次いだからだ。

 そうした投稿と前後して、岩波文庫編集部のツイッター(以下の※で解説)上での指摘をはじめ、日本のメディアでも漢学者などへの取材から、「中国が典拠なのでは」という説がどんどん飛び出し、ネット上で大きな盛り上がりを見せた。だが、岩波文庫編集部のようなプロではない、ごく一般の中国人のSNSでも、ほぼ同じ時間帯から同様の指摘をする人がいたことに、私は舌を巻いてしまった。

※新元号「令和」の出典、万葉集「初春の令月、気淑しく風和らぐ」ですが、『文選』の句を踏まえていることが、新日本古典文学大系『萬葉集(一)』の補注に指摘されています。「令月」は「仲春令月、時和し気清らかなり」(後漢・張衡「帰田賦・文選巻十五」)とある。

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最終更新:4/25(木) 7:10
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