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「焦れば焦るほど眠れない」神経質性不眠への森田療法流解決法

4/25(木) 6:01配信

ダイヤモンド・オンライン

 「今日もまた眠れないのか」――。不眠症の切実な恐怖。不眠症の人は「不眠ほどつらいものはない、ただ眠ることさえできれば」と切に願います。神経質な人が、眠らなければと焦れば焦るほどかえって眠れなくなる神経質性不眠。どうすればそれを克服できるか、中村敬先生が実際の症例をもとに、「森田療法流対処法」による眠りの改善策について解説します。(談/東京慈恵会医科大学附属第三病院院長・精神医学講座教授・森田療法センター長 中村 敬、構成/慈恵大学広報推進室 高橋 誠)

● 神経質で長年寝つきが悪かった 70代男性の悩み

 今回は、大手商社で定年を延長後、数年前にリタイア。それからはゴルフや旅行などを生きがいにしていた70代前半男性の事例をご紹介します。

 元来、神経質で人前では緊張しやすい性格でした。旅行などの前夜は寝つきが悪かったといいます。現役時代は年に数回の海外出張や、国内各地の展示会やイベントでの商談を多く経験しました。ビジネスキャリアを通じて、翌日特別なスケジュールのある前夜は、どうしても寝つきが悪くなっていました。

 数年前からは、近所の内科医より処方された睡眠導入薬を毎夜服用しています。しかし最近は入眠して2~3時間でトイレに起きた後、熟睡できなくなることが続き、「よく眠れないと気力も湧かない、このままだと自分の第2の人生も台無しになってしまう」と悩み、内科医からの紹介で、中村敬先生に相談しました。

● 相談の内容 「眠れない日は地獄」

 不眠は日によって波がありました。男性は「眠れた日は天国、眠れない日は地獄」だと言います。ある日、仲間とのゴルフの前夜に、興奮して眠れないことがありました。すぐに眠らないと明日のゴルフに差し障る、ライバルとの勝負にも負けてしまうと思うと、ますます寝つけなくなりました。

 翌日のゴルフは寝不足の自分の体調ばかりが気になり、スコアもさんざんで、あまり楽しめませんでした。「同伴した友人たちも、自分のことを変に思ったのではないか?」と思うと、ますますプレーがうまくいかず、情けない気持ちに陥っていきました。

 こんなことではいけない、どうにかして十分な睡眠を取りたいと切望するものの、思うように眠れず、だんだん床に就くのも怖くなってきたとのことでした。こんな状況が続けば、定年後の楽しみであったゴルフも嫌いになってしまいそうだといいます。なお、食欲はあり、抑うつ症状は特に認められませんでした。

● 中村医師の回答 不眠への恐れは、より良い翌日を願う裏返し

 ◎無理に眠ろうと努めないでください

 初診時には、上記の症状と経過から「神経質性不眠」と診断しました。不眠症といっても色々なタイプがありますが、この患者さんは、神経質性不眠といわれているタイプ。神経質な方が、眠ろうと焦るとかえって眠れなくなる。眠れなくなることが不安になって、ますます眠ることにとらわれる。

 反対に眠れないことを気にすまいと思うことはさらに逆効果で、ますます焦り、眠れなくなってしまう。このような眠りの負のスパイラルに陥るのが神経質性不眠です。

 このようなタイプの不眠には、「眠る眠らないは成り行きに任せて、無理に8時間眠ることにこだわらず、眠りは与えられたら受け取る」という態度になりきるよう指導することがポイントです。

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最終更新:4/25(木) 6:01
ダイヤモンド・オンライン

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