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大学生が「%」を分からない日本の絶望的な現実

4/25(木) 5:50配信

東洋経済オンライン

 このような理解を無視して暗記に頼る学びは、途中のプロセスはいい加減でも答だけ機械で採点するマークシート式問題ならば、「結果オーライ」である。しかし、来るAI(人工知能)時代にはマッチしていない。

 計算機は、記憶や計算スピードの点では人間よりはるかに優れている一方で、相手の表情から相手の心をつかんで話したり、いろいろ試行錯誤して斬新なアイデアを創造したりすることは苦手である。AI時代には、人間と計算機が互いによきパートナーとして協力する関係を築くことが大切なのだ。

 およそ新しいものを創造するためには、いろいろな試行錯誤を粘り強く行う必要がある。この試行錯誤という点で、長い大学教員の経験から昔と今の学生で大きく違う点を感じる。それは、誰でも試行錯誤して楽しめる問題に対して、考えているときの態度に現れる。

 昔の学生は全員がチャレンジし続けて、時間が30分近くなって答を言おうとすると、「先生、いま考えているから、絶対に答は言わないでください」と言う者が何人もいた。今は、そのように言う者はほとんどいないばかりか、問題を見た途端に「先生、この問題の解き方はどうすればよいか、教えてください」と言う学生が多くいる。

 実は、この残念な傾向にマッチするような教育や参考書が氾濫しているが、そのような教育に対する反省があるからこそ、2020年度から始まる大学入学共通テストの国語と数学では、一部に記述試験が導入されることになった。

 その試行調査(プレテスト)が何回か行われ、その度に「数学の記述試験の成績がそうとう悪い」という報告がある。

 マークシート式の試験対策しか行っていない生徒がいきなり記述式の試験を受けても成績が悪いのは当然であり、難易度をもっと下げてほしかった。

 さて、TIMSS(国際数学・理科教育動向調査)などでも、日本の子どもたちの「数学嫌い」は際立って多い。なぜ、この問題にもっと真剣に目を向けなかったのだろうか。理系に進学する女子を対象とするセミナーはあちこちで開催されるようになったが、大多数の生徒が数学を嫌いだと思う意識を改善しない限り、いくら「AI時代には数学が大切」と騒いだところで根本的な改革は進まないだろう。

 数学を真に「面白い」と思うのは、素早く答を当てたときではなく、答や面白い性質を導くプロセスがよく理解できたときである。

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最終更新:4/25(木) 5:50
東洋経済オンライン

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