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【連載 名力士たちの『開眼』】横綱・旭富士正也編 捨て身になってかかった人間の強さ――[その3]

4/26(金) 12:06配信

ベースボール・マガジン社WEB

横綱昇進で燃え尽きた力士人生

 旭富士が大乃国の後を追って第63代横綱に昇進したのは、この無欲の勝利から5年後の平成2年(1990)名古屋場所後のことだった。そして引退は。この1年半後。横綱在位はわずか9場所だった。

「横綱になるまでは夢中でしたけど、上がってしまったら、なんだかホッとしちゃったんです。それに、オレが辞める4場所前に千代の富士関が、3場所前に大乃国も引退してしまいましたからね。まだ体力的には大丈夫だったんですが、精神的に急にガクッとなって、もうそうなったら自分の納得いく相撲は取れませんからね」

 と安治川親方は頭をかく。最後まで旭富士は名人肌の力士だったのである。現在は伊勢ケ濱部屋の総帥。現役時代とは打って変わって第二の旭富士づくりに人目も構わず、おおっぴらに励んだ結果、横綱日馬富士、大関照ノ富士らを育て上げた。(終。次回からは関脇・麒麟児和春編です)

PROFILE
旭富士正也◎本名・杉野森正也。昭和35年(1960)7月6日、青森県つがる市出身。大島部屋。189cm143kg。昭和56年初場所、本名の杉野森で初土俵。同年夏場所、旭富士に改名。57年春場所新十両、58年春場所新入幕。62年秋場所後に大関昇進。平成2年名古屋場所、連覇で3回目の優勝を果たし、場所後に第63代横綱に昇進。幕内通算54場所、487勝277敗35休、殊勲賞2回、敢闘賞2回、技能賞5回。平成4年初場所で引退し、年寄旭富士から安治川を襲名。翌5年4月、分家独立し、安治川部屋を創設。19年11月から伊勢ケ濱に名跡変更、横綱日馬富士、大関照ノ富士、関脇安美錦、宝富士らを育てた。

『VANVAN相撲界』平成6年1月号掲載

相撲編集部

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最終更新:4/26(金) 12:06
ベースボール・マガジン社WEB

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