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解説:火星の地震を初観測のインパクト、なぜ起こる?何がわかる?

4/26(金) 17:10配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

火星の地震はどうやって起こるのか

 地球の地震は主に、絶え間ないプレート運動によって引き起こされる。地球の表面を覆うプレートどうしが押したり引いたりしている場所にひずみが蓄積すると、ストレスに耐えられなくなった岩盤が急激に破壊され、地震が発生するのだ。

 しかし、火星には地球のようなプレートはないようだ。火星は、長い年月をかけてゆっくり冷えながら収縮している。火星の地震は、そのときに表面が割れることによって起こると考えられている。そのほか、隕石の衝突や、地下深くのマグマの流動によっても発生しうる。

 研究者たちは、火星の地震を利用して、その内部構造を調べたいと考えている。この方法は、超音波を使って体の中を調べるのに似ている。火星の内部で地震波がどのように反射するかを調べることで、内部構造を推定できるのだ。

火星の地震からわかること

 今回の地震のほかにも、まだ確認されていない地震波が3つある。だがどれも、火星の赤い大地の下で起きていることを解き明かすには小さすぎる。とはいえ、これらのシグナルは無意味ではない。

「火星がどんなに活動的か、私たちに教えてくれるからです」とバナート氏は言う。

 地球の場合、地震の発生頻度と規模(マグニチュード)の間には、グーテンベルク・リヒター則という関係が成り立つことが知られている。これによると、地震のマグニチュードが1小さくなる(放出されるエネルギーが約32分の1になる)ごとに、地震の頻度は約10倍になる。バナート氏によると、月についても同じ近似が当てはまるという。それなら火星でも、小さな地震の頻度を測定することで、大きな地震がどのくらい頻繁に起こりうるかを予想できるかもしれない。

 興味深いことに、火星の地震は約10分も続いた。これもまた、火星の表面を知るための手がかりを与えてくれそうだ。ウェーバー氏は、火星の地震は、地球の地震よりも、アポロ計画で記録された月の地震に似ていると指摘する。

 月と地球の地震の違いは、地質の違いによって説明できるかもしれないとウェーバー氏は言う。月の表面は、数十億年にわたる隕石の衝突や風化によってできた、細かい砂礫に覆われている。これに対して地球では、活発な地質活動があるため、砂粒はどんどん風化して細かくなり、土壌の固まり方が変わってくる。その結果、地球と月の表面では、地震波の伝わり方も異なってくる。地球表面の地震波は短時間で鋭いが、月表面ではもっと減衰せずに広がる。

 ただし、火星の地震が長いのは土壌の性質のせいだと断定できるわけではないとウェーバー氏は釘をさす。インサイトの科学者チームは、今も詳細部分の解明に取り組んでいる。

「私たちは、地震が発生したらすぐに解析できるようにプログラムを組み立てていました。最初のシグナルが、それで解析するのに最適なものでなかったのは、少々残念です」とウェーバー氏は言う。「けれども、新しいプログラムを作ればいいわけですから、これは面白いことなのです」

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