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太陽光を“操作”して地球温暖化を抑制しても、副作用は少ないかもしれない

4/26(金) 12:15配信

WIRED.jp

大気圏に微細な粒子を散布して太陽光を反射させ、地球温暖化に対抗する。あるいは大量の温室効果ガスを大気中に放ち、地球の温度を上げる──。こうしたアイデアは、ずいぶんと思い切った発想であるように聞こえるかもしれない。いずれも気候工学の一種である「ソーラージオエンジニアリング」のうち、太陽放射管理と呼ばれる手法だ。

「性格は気候に影響される」という研究結果が、本当に意味すること

これらを地球温暖化対策の選択肢から外す理由を考えれば、いくつも挙げられる。まず、大気中に粒子を散布して地球の気温を下げる効果は、一時的なものにすぎない。やめれば即座に、相殺されていた温暖化の直撃をまともに受けることになる。また、この方法で対処できるのは温暖化だけで、海洋酸性化は急速に進行し続けるとされている。

さらに、太陽光の操作による冷却と温暖化との物理的なバランスがとれず、仮に気温を保てたとしても降水量が減少する可能性がある。この降水量の問題に焦点を当てた研究が、ハーヴァード大学のピーター・アーヴァイン率いるチームによって、このほど発表された。

太陽光の“操作”で温暖化は軽減される

この研究では、太陽光の操作をより現実に即したシナリオで実施した場合に、水の循環に与える悪影響を最小限にとどめられるかどうかについて検討している。研究チームが想定したシナリオは、大気中の二酸化炭素濃度が2倍になった状態だ。これはかなりの温暖化をもたらす設定だといえる。

この状態で、温暖化を半減させる規模の太陽光操作を100年かけて実施する。大気中へのガスの散布は場所ごとに調整可能で、太陽光を反射する成層圏内のエアロゾル粒子は世界全体で均等に分布することが前提になる。

均等に、というのが重要な点で、地球に届く太陽光を等しく減らすことで問題になりうる要因を排除できる。というのも、研究チームは13パターンの異なるモデルを使用しているが、均等でないと結果に予期せぬ変数が反映されてしまうかもしれない。大気中のエアロゾル粒子の化学的および物理的なふるまいが、異なったかたちでシミュレーションされてしまう可能性があるわけだ。

それぞれのモデルでは、太陽光を操作した場合としない場合のシミュレーションを実施し、大規模降雨、降水量と蒸発量の全体バランス、さらにはハリケーンの強度などにどのような影響が出るかを調べた。

この結果、気温については明らかな影響が地球全体で確認された。太陽光の操作によって温室効果を半減すると、地球上のあらゆる地域で温暖化が軽減される。また、温暖化によってハリケーンの成長が促される作用が弱まり、ハリケーン自体の勢力も弱まることが示された。

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最終更新:4/26(金) 12:15
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