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マンUが勝てない最大の理由とは? マンCの質を引き立たせた弱さ。明白になった致命的な欠点

4/26(金) 11:26配信

フットボールチャンネル

 マンチェスター・ユナイテッドは現地時間4月24日、プレミアリーグ第31節でマンチェスター・シティと対戦。地元ライバルとのマンチェスターダービーは、ホーム開催だったが0-2で完敗を喫した。しかもその敗戦ではCLのバルセロナ戦と同じ弱点を露呈している。どんな試合だったのか。(文:内藤秀明)

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●前半はユナイテッドが奮闘するものの…

 戦前の予想通り試合は、攻めるシティ、守るユナイテッドという構図になった。ユナイテッドは5-3-2のシステムで臨んだが、4-3-3で戦うシティのSBのマークに対して中盤の選手がつくことが多かったため、5-2-3のように見えることも多かった。

 たださすがにシティのパスワークに対して、2枚の中盤だけ対応するのは難しいので、状況に応じてCBが一列前に出る、あるいは高い位置にまで上がった中盤の選手が根性でプレスバックすることでカバーしていた。この縦の守備の連動は全体的にはかなり高い精度で行われていた。

 ただ唯一の問題はポール・ポグバだ。中盤でカバーが必要な場面、アンドレアス・ペレイラやフレッジは全速力で戻っていたが、ポグバはジョグで帰陣することが多くユナイテッドの守備の穴になっていた。

 実際1失点目に関してはポグバが戻らなかったせいでハーフスペースに位置どるベルナウド・シウバへのパスコースが空いてしまい、そのままシュートに持ち込まれて失点している。

 ただ触れておきたいのはこの場面シティのオフザボールの動きも素晴らしかった。

 良かった点の一つ目はセルヒオ・アグエロのポジショニングだ。右CBマッテオ・ダルミアンと中央のCBクリス・スモーリングのどちらがついたらいいのか非常にわかりにくいポジショニングをとることで二人を引きつけた。

 ボールがないところで無駄に数的有利を作ってしまったユナイテッドは、スターリングとB・シウバに対して、ヴィクトル・リンデロフとルーク・ショーが同数で守らなければならない状況に。そんなタイミングでスターリングとB・シウバがポジションチェンジすることでユナイテッドのマークを混乱させ、ゴールが生まれた。

●強力なストライカー不在が命取りに

 またユナイテッドの2失点目に関しては、フレッジのパスミスが起点となり、スターリングがドリブルでカウンターを開始。しかし右ウイングバックとしてプレーしているアシュリー・ヤングの帰陣が遅く右サイドのスペースを消し切れない。

 同時にクリス・スモーリングはなんとなく下がるだけで完全にボールウォッチャーで、ダルミアンは裏に抜け出そうとするセルヒオ・アグエロのケアで精いっぱいの状態。結局、カウンターの匂いをいち早く察知して走り出した途中出場のレロイ・サネは左サイドで完全にフリーになり、余裕をもってシュートをニアに決めた。

 2点目の場面、スターリングか加速してフレッジを抜いた時点でユナイテッドは数的不利だったため、後ろの選手はいずれにしても止めることは難しかったかもしれない。ただし両失点共にスモーリングは間接的に失点に関与しており、対人戦以外の弱さを改めて露呈してしまった。

 ここまで守備面の問題を指摘してきたが、それ以上に問題なのは攻撃面だ。

 そもそもカウンタースタイルで勝つには強力なストライカーが絶対に必要だ。チェルシーを見ればわかりやすい。ロンドンの強豪チームが強い時期にはディディエ・ドログバや、ジエゴ・コスタなどがいた。彼らはなんでもないロングボールをマイボールにしてチームを押し上げつつ、決定機を決め切る力を持っていた。

 一方ユナイテッドはどうだろうか。先発のマーカス・ラッシュフォードや途中出場のロメル・ルカクはカウンター型のストライカーとして才能はあるのだろうが、得点能力の面では彼らと大きな差がある。

 ラッシュフォードは利き足の強いキックを持っているがそれだけでレパートリーが少ない。ルカクは両足や頭でも決められるレパートリーはあるがボールが足元に収まらず、狭いスペースだといい形でシュートに持ち込めない。

●コンディション不良は死活問題に

 直近のユナイテッドは体力のある前半のうちに激しいプレスでミスを誘発したり、前後運動を繰り返すオープンな展開に持ち込んだりすることで、序盤にチャンスを作ることが多い。

 バルセロナ戦の2ndレグでも今回マンチェスターダービーでも、序盤はカウンターがハマることでシュートチャンスを作った。ただ結局決定機を決めることができなかったのは、能力がトップレベルの選手に比べると足りなかったと言わざるを得ない。

逆にいうとチャンピオンズリーグ・ベスト16、パリSGとの2ndレグで勝つことができたのは、運にも恵まれ、開始2分とかなり早い時間帯に先制できたことが大きかったのだ。

 とはいえユナイテッドにも8連勝するなど勝てていた時期はあった。当時と変わった部分でいうと、単純にカウンターの場面が減ったこと。そして前線の選手たちのプレーにミスが増えたことだろう。その理由としては疲労によるコンディション不良が大きい。特にユナイテッドのようなチームにとってコンディションは他のチーム以上に死活問題なのだ。

 少し話が逸れるようだが、一つ面白いデータを紹介したい。今季のプレミアリーグにおいてマンチェスター・シティやアーセナルを相手にアウェイで勝利を収めるなどジャイアントキリングに成功しているクリスタル・パレスは、平日開催の試合で今シーズン1回しか勝てていない。

 その理由は彼らの戦い方にある。クリスタル・パレスの基本的な戦い方は、9人~10人で死ぬ気で守って攻撃は基本的にウィーフレッド・ザハの身体能力任せ。ロイ・ホジソン監督はシンプルだがこれを徹底させている。

 ちなみに守備も緻密な戦術などはなく、単純にフィジカル自慢を多数配置して走り回らせている。直近は右ウイングに本来は守備的MFのジェームズ・マッカーサーを配置することで、攻撃面の貢献をある程度捨て守備面を強化するほどの徹底っぷりだ。

 結局パレスのような攻守共にフィジカルに依存するようなクラブは過密日程になると疲労でチーム全体のパフォーマンスが一気に落ちるので勝てなくなる。だからミッドウィークは面白いくらいに勝てない。

●CL出場権獲得はなるのか?

 今思えば2016年にレスターが優勝できた大きな要因として、クラウディオ・ラニエリが選手たちに週休二日も与えていたのも大きかったのだろう。彼らもジェイミー・ヴァーディー、リヤド・マフレズ、エンゴロ・カンテなど、特定の選手の身体能力にかなり依存するサッカーだった。

 さて身体能力依存のサッカーでいうとユナイテッドも同様だ。一人に依存しているわけではないが、攻撃が2~3人の身体能力任せという部分はほぼ変わらない。

 ポグバが高い身体能力をいかして強引にドリブル突破してカウンターの場面を作り、ラッシュフォードが俊足をいかして抜け出す。多少の工夫はあっても基本はこれしかない。だからこそ過密日程でコンディションが落ちれば、結果にもろに響く。今季はワールドカップイヤーだったため、疲労のダメージはなおさら大きい。

 可能なら選手をローテーションさせたいところだが、直近5年でデイビッド・モイーズ、ルイス・ファンハール、ジョゼ・モウリーニョ、オレ・グンナ・スールシャールと、監督をころころ変えてきたため、補強に一貫性がなく、実質起用できる選手が他のクラブに比べて少ない。

 これらの事実を鑑みれば、シーズン終盤にユナイテッドのパフォーマンスが落ちることは、今思えば自明だったのかもしれない。

 ユナイテッドはダービーで負けたことによってCL出場権獲得に遠のいたが、まだ不可能と決まったわけではない。アーセナルがウォルバーハンプトンに1-3で敗戦を喫したこともあり、週末のチェルシー戦で勝利を収めることができればまた可能性は出てくる。

 チェルシーもチェルシーでヨーロッパリーグによる過密日程が原因で、エデン・アザールのコンディションが安定せず苦しんでいる。ここ9戦でわずか2勝しかユナイテッドはできていない不調の状態ではあるが、チェルシーも万全ではないため可能性はあるはず。残り3試合、なんとか勝ち点3を積み重ねることで、4位に順位を近づけ、良い形でシーズンを終われればいいが……。

(文:内藤秀明)

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最終更新:4/26(金) 18:23
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