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後悔するより決断を―― 大道芸の道を選んだ元サラリーマン

4/26(金) 12:42配信

Wedge

ディアボロに魅せられて

 23歳でこの世界に飛び込んで今年で8年目を迎える。そもそも大道芸一本で生きている人は日本にどのくらいいるのだろうか。

 「仕事を別に持って、趣味的に大道芸をやっている人は1000人以上はいるんじゃないかな。ここ静岡ではフェスティバルやコンテストに出ている人は10人くらいで、意外に少ないんです」

 しかし、ジョー次が大道芸と出会ったのは、静岡で生まれたからともいえる。静岡市では92年から毎年11月に「大道芸ワールドカップin静岡」というイベントが開催されていて、最近では200万人を超える人々が集まる。アジア最大級の大道芸フェスティバルで、世界各国からさまざまなストリートパフォーマーもやってくる。

 ジョー次は、中学2年の時に友人に誘われて初めてこのイベントを見に行った。そして、大道芸の道具を販売する店の体験コーナーで、ディアボロを実際に手にしたのだという。

 「その場で回し方を教わって、面白かったので一番小さなコマを買ったんです。大きいほうがやりやすくて小さいのは難しいんだけど、お小遣いで買えるのは小さいのだったから。当時はユーチューブとかなかったから、ワールドカップのディアボロをビデオに撮って真似して覚えてました。簡単な技ができるようになるとハマってしまって、ジャグリング交流会に顔を出して上手な人の練習をビデオに撮らせてもらったりしてね」

 最初の目標は中学で毎年行われるバザーでパフォーマンスすることと定め、すでにディアボロを始めていた人たちのチームに参加して4人で団体練習。静岡県立静岡農業高校に進学すると、「静農祭」のパフォーマンス大会に毎年出場。

 「1年生、2年生の時はボロボロだったんですけど、3年生の時はものすごく一生懸命準備して本番に臨み、銀賞だったんです。金賞は弾き語りの人でした。その時、集まった人がすごく盛り上がって、自分でもすごく気持ちがよくて、パフォーマーの楽しさに目覚めたというか。あの感覚が忘れられないものになりました。それと一生懸命やればできるんだという実感も得られたと思っています」

 高校3年といえば、進路を決めなければならないタイムリミットが迫る時期でもある。ただ、その時には大道芸で生きていくことは全く考えられず、将来は土木か設計分野の仕事に就こうかと何となく思って、静岡産業技術専門学校に進学。ここでいろいろな資格を取得した中に3D CAD(キャド) があり、設計に興味を持ったことで卒業後は製造業の会社に就職。一度は技術者として堅実にサラリーマン生活を送っていたということだ。が、2年で会社を辞めた。

 「毎日同じような仕事で、残業も多い。ディアボロは触るくらいで練習もできないから、技術も停滞したまま。帰ると疲れて眠るだけの生活で、本当にこれでいいのかなって考え、自分が本当にやりたいことって何だったんだろうって思った」

 悩んだ末に、大道芸のプロになりたいという本当の望みが見えてきた。しかし、安定した収入が保証される生活から、正反対の不安定な生活へ。先行きの予想は全くつかない五里霧中の人生への大転換である。

 会社を辞めて大道芸で生きると意を決して父親に話したら、反対されることはなかったという。ただひと言「自分のことは自分でちゃんとやれ」。反対されれば、反対を押し切るという反発をバネに突き進めるが、自分の人生を好きに生きろと言われれば、自分の内にこの先を生きる原動力を求めるしかない。

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最終更新:4/26(金) 12:42
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