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「令和」にまつわる歌、実はKYな部下がやらかしていた歌だった

4/26(金) 6:05配信

幻冬舎plus

三宅香帆



新元号出典というニュースによって、元号特需に沸く『萬葉集』。

実は私、大学院の隅っこでひっそり『萬葉集』研究をしていたのだけど、まさか自分が生きてるうちに、アマゾンで『万葉集』(岩波文庫)が売り切れになる日が来ようとは思っていなかった。いやはや。嬉しい限りである。

そんなブーム真っ盛りの『萬葉集』だけれども! 

私は!! もっと!!

『萬葉集』のいろんな面をみんなに知ってほしい!!のである。

あまり知られていないけれど、『萬葉集』には4516首という膨大な量の歌が収録されている。そのなかには、たとえば「元祖BL」とでも言いたくなる男性同士の恋愛和歌、今も昔も変わらない「労働したくない!」ひとびとの歌、「この子ってもしかして今風に言うと『メンヘラ』では……?」とひっそり思う重た~い片思いの歌(しかもたくさん)、だじゃれや笑えるネタで乗り切った歌、などなどなど、ありとあらゆるジャンルの歌が詰まっている。 

 

冒頭にも申し上げた通り、私は大学院で萬葉集を専門に研究していたので(ちなみに修論のテーマは「『萬葉集』における「歌語」の萌芽」)、きたるべき「令和」の時代、これはもう『萬葉集』を世に広めてくしかないのでは!! と心底思っている。ちなみに「新元号「令和」元ネタの万葉集では、「妄想力」が爆発していた」という話も書きました。いやごめん引かないで。楽しく『萬葉集』への愛を語りたいだけなの。

実際に『萬葉集』の中身を覗いてみると……たとえば今回の新元号「令和」。

実は大伴旅人という歌人を中心に、梅を見つつ宴会を開いたときの「題詞」が出典なのだけど(題詞って、歌の解説みたいなもんです。『萬葉集』にはたまにある)。

「令和」に対するニュースやツイッターの反応を見てみると、「梅の花を詠んだ歌群が出典」「日本の美しい風景を表現した言葉」「平和な日本の象徴となる元号」「でも実は漢詩が出典」といった意見がちらほら。

しかし! そんな「令和」の字義だけじゃなく、私は、「令和」の元ネタになった題詞やその歌たちに注目してほしいのだ。

実は「令和」の元ネタになった歌たち、「ただ梅を見て詠んだ歌」って意味以上の、面白さが潜んでいる。

よし、じゃあ私と一緒に具体的に見てみよう。以下は「令和」の出典となった題詞が付されている宴会の歌たちだ。そのうちの一首をご紹介する。基本的に、梅を見る宴会で詠まれた歌だと思っていただきたい。

春されば まづ咲くやどの 梅の花 ひとり見つつや 春日暮らさむ(筑前守山上大夫、818番)

訳してみると「春が来るとまず咲く庭前の梅の花……この花をひとりで見ながら長い春の一日を暮らすんだろうか」。

梅の花が咲いたけど、ひとりで見るのは寂しいな~。って寂しさ詠んだだけかい! これだけだと「ふーん」としか思えない。

だけど、事情が分かると、歌の意味がすこし違って見えてくる。

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最終更新:4/26(金) 6:05
幻冬舎plus

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