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ケイジ・ジ・エレファント、プレイリスト時代に勝ち取ったロックンロールの未来

4/26(金) 16:00配信

Rolling Stone Japan

ケイジ・ジ・エレファントの歴史を振り返る

ケイジ・ジ・エレファントの歴史は案外古く、地元のケンタッキー州で活動していたハイスクール・バンド、パーフェクト・コンフュージョンが母体。セルフ・タイトルの自主制作アルバムを2005年に残しているが、この時点では演奏もアマチュア然としていてまだ線が細く、ルーツ志向をうまく血肉化しようともがいている感じだった。

バンドが現在の名前で本格的に始動したのは2006年のこと。最初に彼らを見つけたのはイギリスのリレントレス・レコードで、2008年に入ってからUKシングル・チャートに「In One Ear」(51位)、「Ain’t No Rest For The Wicked」(32位)を送り込み、まずヨーロッパから人気に火がつく。泥臭いスライド・ギターが先導する「Ain’t No~」は初期のベックやホワイト・ストライプスと比較され、ブルースに端を発するリフ・ロックを咀嚼した新世代として一躍脚光を浴びた。

それらシングルを含むデビュー・アルバム『Cage The Elephant』(2008年)では、ジョン・ハイアットやパティ・グリフィンなどベテランと組んできたナッシュヴィルを拠点とするプロデューサー、ジェイ・ジョイスを起用。デレク・トラックス・バンドの傑作『Songlines』(2006年)でリズム・アレンジや編集に貢献したジョイスの手腕が存分に発揮され、バンドのグルーヴを覚醒させた。

マット・シュルツいわく「予算が少なくて10日程度で作った」というデビュー作とは対照的に、ジェイ・ジョイスとの共同作業で練りに練った2作目『Thank You, Happy Birthday』(2011年)は全米アルバム・チャートで初登場2位をマーク。メンバーにとって「会心の1枚」だったという2013年の3作目『Melophobia』(全米15位)までジョイスとのタッグが続く。これら3枚はバンドが鉄壁のグルーヴを獲得するまでの過程を記録した“3部作”的な作品だが、ピクシーズなど90sオルタナティヴ勢の影響がモロに出た「Shake Me Down」のようなタイプから、ダンサブルな「Come A Little Closer」まで、曲調の幅は気まぐれに拡がっていく一方で、デビュー当時の“ルーツ継承派”的なイメージに縛られることを嫌っているようにも見えた。

2015年の4作目『Tell Me I’m Pretty』(全米26位)では、同じQプライムの仲間であるブラック・キーズのダン・オーバックにプロデュースを依頼。ガレージ・パンクど真ん中の「Mess Around」を筆頭にヴィンテージ・サウンドを活かした60sテイストの曲が目立つ一方、より内省的かつフォーキーな「How Are You True」にも取り組んだ。バンドの中核であるシュルツ兄弟(ギタリストのブラッド・シュルツとマット)は父の影響で幼少期からフォーク・ソングやクラシック・ロックを浴びるほど聴いて育っており、彼らの“原点”が透けて見える作品とも言える。本作は2016年のグラミー賞で、見事「ベスト・ロック・アルバム」に選出された。

2016年にはジュリエット・ルイスのミニ・アルバム『Future Deep』のレコーディングにバンドごと参加し、ブラッド・シュルツが4曲をプロデュース。いかにもブラッドらしい気っ風のいいロックンロールが並ぶが、タイトル曲はシンセを絡めたこれまでにないディスコ風で、変化の兆しが窺える。

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最終更新:4/26(金) 16:00
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