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国民の頼みは「ツイッター」…混迷ベネズエラ、メディア崩壊の現実

4/26(金) 10:00配信

現代ビジネス

政府がbotでプロパガンダを流布

 ここ数ヵ月、世界中のメディアで盛んにベネズエラが取り上げられている。だが、「実際のところ、ベネズエラでは何が起きているのか」という点は、マスコミの解説を見ても判然としない、と感じる読者が多いのではないだろうか。

 今年に入り、ベネズエラでは野党多数の国民議会の議長、フアン・グアイドが暫定大統領として立ち上がった。そしてニコラス・マドゥロ大統領に退陣を求めるデモが、ベネズエラ各地で頻繁に起きている。

 マドゥロは市民への弾圧の手を強めており、多くの市民が不当に拘束され、拷問され、あるいは暗殺されている。

 国民の抗議の背景にあるのは人道危機だ。

 ゴミ収集所の周りに集まって残飯を食べる人たち、痩せこけた子どもを抱える母親、涙ながらに薬不足を訴える患者と家族、隠し撮りした荒廃した病院の写真。悲惨な現地の様子は、毎日のようにSNSに流れてくる。それでも、今年の2月の時点で、マドゥロは「ベネズエラに人道危機など存在しない」と言い続けていた。

 3月になると、ベネズエラ全土で大規模な停電が起きた。今も電気の供給は不安定で、断水も深刻だ。通信も不安定になっている。

 国が崩壊しつつあることや国民の悲鳴は、確かにメディアやSNSを通して伝わってくる。しかし実は、ベネズエラの正確な実態は現地の専門家にさえよくわからないのが現実だ。むしろ専門家こそ、「ベネズエラではどれほど情報へのアクセスが困難か」を切実に感じている。

 理由は言論統制だ。マドゥロ政府は、国民が知ってしかるべき情報の大部分を隠匿している。

 そもそもベネズエラ国民は、前大統領ウーゴ・チャベスの正確な死因すら知らされていない。公には、チャベスは2013年3月5日にカラカスで、ガンで死亡したとされるが、それが何のガンだったかは、今なお不明なままだ。

 ベネズエラでは新聞もテレビもラジオも規制されている。今回私は、ベネズエラの独立メディアCaracas Chroniclesで2012年よりベネズエラでのメディア規制を追い続けている、ジャーナリストのグスタボ・エルナンデス・Aに話を聞こうと思っていた。

 だが残念ながら、停電のせいで彼とは連絡がつかなかった。数週間前に送ったWhatsAppのメッセージには、今も既読マークがついていない。

 情報にアクセスできない状況について、アラグア州マラカイ在住のジャーナリスト、ホセ・ゴンザレス・バルガスは、「確かな情報源がないせいで市民は噂話を頼るしかない。カラカスの貧困地区の様子や、コロンビアとブラジル国境で起きた激しい衝突など、内容によっては、ほぼ完全に言論統制されているし、通信網と電力網が崩壊して、情報規制は悪化の一途を辿っている」と説明する。

 言論統制と並行して、マドゥロ政府は国内のテレビやラジオでは四六時中プロパガンダ番組を流し、ネット上では、Twitterのbotを用いたプロパガンダの流布に余念がない。さらに、このようなプロパガンダを「現地情報」として拡散する海外の活動家が絶えず、混乱は広がるばかりだ。

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最終更新:4/26(金) 10:00
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