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WTO判決「必死の韓国」に敗北した、日本の絶望的な外交力

4/26(金) 9:00配信

現代ビジネス

 福島第一原発事故後、韓国政府が日本の水産物に対して禁輸措置をとっていることを不当だとして日本政府が世界貿易機関(WTO)に提訴した問題で、WTOの最終審に当たる上級委員会は今月11日、一審での韓国への是正勧告を取り消した。これにより、日本は事実上敗訴した。

 「通常、一審の判断が覆ることはありえない」(自民議員)だけに、日本政府にとっては青天の霹靂。事故後8年が経過しても続くアジア諸国などの禁輸措置を解除し、被災地の水産物の輸出を拡大する構想は頓挫した。

 背景には日韓ワールドカップ共催や、捕鯨問題とも共通する日本外交の「押しの弱さ」がある。

「キツネにつままれたような…」

 韓国は2011年3月の原発事故発生以降、福島など8県の水産物を一部禁輸し、さらに事故から2年半後の13年9月、禁輸対象を8県の全ての水産物に拡大して放射性物質検査を強化した。

 対する日本は、科学的な安全性と、事故後に時間が経過した後で禁輸措置を強化するのは不当だとして、15年5月にWTOに提訴した。

 WTOは紛争処理小委員会を設置し、18年2月、韓国の禁輸措置に対して「恣意的または不当な差別」「必要以上に貿易制限的」と判断し、韓国に是正を勧告した。しかし韓国はこの判断を不服とし、最終審の上級委員会に上訴。その結果、日本が敗訴したというのが今回の経緯となる。

 上級委員会の判決文に当たる報告書によると、一審は禁輸が「不当な差別」に当たるかを判断する時、食品自体の放射線量のみを判断基準としたが、将来的に汚染に影響する可能性のある日本周辺の海洋環境などの地理的条件を考慮していなかった。この点で落ち度があるため、一審が下した「韓国の禁輸措置は不当」とする判断は誤りである、との指摘が記されている。

 なお、日本食品に含まれる放射線量の水準などの分析は今回の訴訟の対象ではなく、見解を示さない旨も書かれている。

 今回の結果について、自民党の水産族議員は「要するに、一審の判断基準が不十分だったので、(判断を)取り消しますということ。その根拠として、実際に韓国に輸出される食品それ自体の安全性に言及するのではなく、外部環境の話を持ち出してきた。キツネにつままれたような気分でした」と話す。

 上級委員会の審理は差し戻しが不可能で、今後韓国は禁輸を是正する必要はない。日本が韓国に対して関税引き上げなどの対抗措置をとることもできなくなった。

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最終更新:4/26(金) 9:00
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