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炎上した企業の「中の人」に聞く、そのとき何を思ったか

4/26(金) 6:01配信

ダイヤモンド・オンライン

 企業の広報やPRに携わる人にとって、今の時代に必ず考えておかなければならないのは「炎上リスク」だろう。公式アカウントの不用意な一言が炎上を招くこともあるし、良かれと思ってつくった広告が華々しく燃えることもある。炎上“させる”側から見えづらいのは、炎上中にその企業の中でどのようなやり取りが行われているかである。炎上を経験した“中の人”に、そのときを聞いた。(取材・文/フリーライター 鎌田和歌)

 早いもので、2019年も3分の1が終わってしまった。今年は年始早々、西武そごうの広告や『週刊SPA!』など大きな炎上案件が相次いだが、その後はやや落ち着いている雰囲気がある。とはいえ、「もういい加減、炎上するような案件は出ないだろう」と思った頃に起こるのが炎上。企業の広報やPRに携わる人にとっては下手するとGW返上の騒ぎになるかもしれず、炎上リスクの芽に細心の注意を支払っている企業も多いはずだ。

 正直なところ、炎上が勃発するとき、怒りを感じている人に共感することもある一方で、炎上している側の企業に同情を覚えることもある。

 多くの場合、「脇が甘い」に違いないのだが、大抵の企業であれば広告やPRが誰かの一存で行われることはない。チームワークにおける意思決定の中で次第にツツツーと意図が横にずれ、誰も考えてなかったような表現が出来上がってしまうこともあるのではないか。いやもちろん、それはそれで無能であるのだが、“中の人”はそういった事情をすべて明らかにすることもできず、モヤモヤとしているのではないか。

 そうであるならば、匿名で聞いてみたい。炎上を経験した企業の人の赤裸々トークを。

● コラムに勝手に手を入れられて炎上 呆気にとられた担当者の一言

 制作会社に勤めるAさん(20代)が炎上を経験したのは数年前。まだ仕事に慣れていない時期のことだった。

 Aさんの会社は、いわゆる「下請け」であり、IT関連や人材派遣会社などからネットニュースやコラムの制作を請け負っている。毎月、決められた本数を複数のライターが書き、Aさんたちが取りまとめて納品していた。

 あるとき、ある企業が運営するメディアに納品したコラムの1本が炎上した。あるスポーツ選手に関する言及が炎上の理由だった。言及は一文のみだったが、その内容に主にそのスポーツ選手のファンたちから、大きな批判が寄せられた。

 「その一文について、確かにその選手のファンや、そのスポーツを楽しむ人たちからクレームを受けても仕方ない内容でした」

 ファンが怒って当然だと思ったAさんは炎上に心を痛めた。一方で、納得できない気持ちもあった。それはこんな理由からだ。

 「炎上の原因となった一文を入れたのは、記事を書いたライターや編集を担当した私ではなく、クライアントである企業の担当者だったんです。その担当者はライター経験や編集経験のない人なんですが、『コラムを面白くするために』という理由で、記事配信の直前にその一文を入れたそうです。

 バッシングされるのは、コラムに名前が入っているライターです。それなのになぜ勝手に文章をいじるのか。あとから勝手に文章を加えて、署名のあるライターに最終確認をさせない。記事制作に関して、そういう意識の低い企業は実際にあるんです……」

 Aさんやライターからの抗議に対して、その担当者は悪びれずに「じゃあ今後は署名を外しましょうか?」と言い放ったそうである。

 「お前たちみたいな無名ライターの署名を入れてやってるんだからありがたく思え、とでも言いたげな態度でした。ウェブ記事の中にはライター名の載っているコラムが多いですが、あれはバッシングを媒体ではなくライターに向けるためにやっているメディアも中にはあると思います。いわば『使い捨て』です」

 その後も勝手に誤字脱字のある文章を挿入されるなど、その担当者とのやり取りにさまざまなストレスを抱え、Aさんの会社は結局、その企業からの発注を受けなくなった。しかしその担当者はその後も「やり手」として出世しているようだという。

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最終更新:4/26(金) 10:00
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