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都構想だけでない、大阪市と堺市の生活保護「やる気」の違い

4/26(金) 6:01配信

ダイヤモンド・オンライン

● 「維新」との複雑すぎる関係 堺市と生活保護運用の今後は

 2019年4月22日、大阪府・堺市長の竹山修身氏が辞意を表明し、4月30日に辞任する見通しとなっている。これを受けて、堺市長選挙が6月9日に実施される予定だ(5月26日公示)。

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 堺市議会では、2月から竹山氏の政治資金使用に関する論議が続いていた。竹山氏の辞意表明の直接の原因は、表面的には足かけ3ヵ月にわたる一連の議論の結果と見ることができる。しかし、論議と異議申し立ての中心となったのが「大阪維新の会」であることは、無視できない要因だ。竹山氏と「維新」との関係は、極めて複雑である。

 竹山氏の初当選は2009年、橋下徹氏の支援を受けてのことだった。当時、「大阪維新の会」はまだ結成されておらず、大阪都構想も表面化していなかった。ところが翌年の2010年、「大阪維新の会」が結成され、大阪都構想や府下の自治体を解体する方針が打ち出された。

 大阪都構想を竹山氏が支持しなかったため、2013年および2017年の堺市長選では、「維新」候補との一騎打ちとなり、争点はほぼ堺市が「大阪都大阪市堺区」となることを認めるか否かであったと言ってよいだろう。様々な名目で竹山氏を支持した政党には、自民党、日本のこころを大切にする党、さらに共産党が含まれている。保守も革新も、右翼も左翼も、大阪都構想への反対という一点では同意していたわけだ。

 私には、他地域から堺市民の選択について働きかけるつもりはない。しかし、生活保護に関してみれば、堺市の運用は、全国をリードし、国政も動かしてきている。このことは、全国にもっと知られて良いと思う。

 たとえば昨年度から、大学などに進学した生活保護世帯の子どもには、10万円(家族と同居の場合)または30万円(家族と別居する場合)の一時金が給付されることとなった。この4月から、この一時金の初回の対象となった子どもたちが、新生活を始めているはずだ。

 多様な課題は残されているが、一歩前進であることは間違いない。そして、前進のためのムーブメントの初動は、堺市の若手ケースワーカーたちによって行われた。

● 人事採用に見る 堺市と大阪市の“やる気”の違い

 堺市の生活保護の特徴の1つは、社会福祉職採用が17年にわたって続いていることだ。現在は、ケースワーカーの70%以上が社会福祉職となっている。

 社会福祉職で採用される職員は、大学などで社会福祉を学び、社会福祉士などの資格を取得している“即戦力”だ。その上、生活保護を含めて何らかの福祉業務に就くことに関する意欲もある。

 行政職や技術職で採用された職員が生活保護業務に就くこと自体は、悪いことではない。配属後や移動後の研修が充実していれば、多様なバックグラウンドを活かしたケースワークの可能性が期待できる。しかし、「大学で情報工学を学び、技術職で採用され、庁内SE業務に就くつもりだったのに、不本意にも福祉事務所に配属された」という職員ばかりでは問題だ。生活保護の運用には、文字通り制度利用者の生命がかかっている。

 引き合いに出して申し訳ないが、対照的なのは大阪市だ。大阪市では、そもそもケースワーカーの人員数が足りておらず、社会福祉法の基準に対して70%程度という状態が続いている。ケースワーカー1人あたりの担当世帯数は、都市部で80世帯が基準なのだが、ケースワーカー数が基準の70%なら、1人あたりの担当世帯数は平均114世帯となる。

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最終更新:4/26(金) 12:40
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