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「その時その時にその場にいない人を悪者にしながらなんとかのりきっていこうじゃないか」女優・寺島しのぶと絵本作家・ヨシタケシンスケ大いに語る

4/26(金) 6:30配信

Book Bang

ふと気付くと、考えてる

ヨシタケ 自分が親になって思うのは、親だからこそ子供に言えない事ってあるわけですよね。他人だったら言えるけど。

寺島 親だからこそ出来る事もあるし、親だから出来ない事もありますよね。

ヨシタケ 一方で、子供も学校へ入ると、どうやら親の話、実際の世の中とずれてるぞって段々気付くわけですよね。どうしてかって言うと、絵本だったり、漫画だったり、テレビだったり、映画だったりがこっそり教えてくれる。そこから、夢ってかなわないよなとか、大人って結構いい加減とかって事を学ぶ。

寺島 その考え、素敵だなー。

ヨシタケ でも、親の言ってる事が違うじゃないかと、かえって親子で揉めてしまう場合もあるわけで。

寺島 そこが難しい。

ヨシタケ 本当は、親だって、子供といろんな話をしたいわけですよ。子供の考えている事だって、昔、子供だった事があるので、結構わかっている。でも、実際、働いて、生活していると、そんな余裕もないわけじゃないですか。

寺島 子供の話に、どうしても結論を急いでしまうんですよね。時間ないし、忙しいし。

ヨシタケ だからこそ、絵本とか、何か話のきっかけになるものがあれば、助かるっていうのが僕自身もよくわかってきて。自分から子供に大事な話を切り出すのって、面倒くさいじゃないですか。でも、よく読んでる絵本とか、たまたま見たテレビのアニメの中でそういうテーマが扱われていた時、その物語をきっかけに、子供と今の時点で何をどう思ってるのか、価値観の共有を出来るかもしれない。そういう所に一役買えたらなって、いつも考えてます。

寺島 やっぱりねー。今日、ヨシタケさんと会って、何だか自分とすごく似てると思いました。人生、そうそううまくいくわけないよねって、私もいつも考えてて、順風満帆て言葉が好きじゃないんですよ。いい事があると、悪い事あるなっていつも思ってたし。

ヨシタケ わかりますわかります。

寺島 それでも若い時は、自分の感性だけを信じてやっていたのが、いろんな事情で、そうも行かなくなって来ちゃった。例えば、子供のためにこういう事言ったら世間体が良くないよなとか思うようになったりとか。子供にサンキューって思う一面、何てつまんない人間になって来ちゃったんだろうとか。

ヨシタケ すごくわかります。

寺島 でもそういうのを健全に感じられてる私は、まだいいのかなって思ったり。生まれてから死ぬ時まで同じ人間なわけはないはずなんで、まあそれも人生という事で、いいのかなあなんて。そういう、いろんな事をいつも考えてて。

ヨシタケ だんだん面倒くさくなりますよね。そのこと自体が。

寺島 そうなんですよ。だから最近は、どんどん切り捨てて、今ある必要な事だけやっていけば、きっとどうにかなるさ、みたいな。

ヨシタケ でも結局は、ふと気付くと何か考えちゃってるんですよね。

寺島 そういう事でいいんだってことを、ヨシタケさんの本を読んで感じました。そして今日お会いして、やっぱりそういう方だったなって、嬉しかったです。

ヨシタケ きれいにまとめて頂いて(笑)。

[文]新潮社

新潮社 波 2019年5月号 掲載

新潮社

4/4ページ

最終更新:4/26(金) 6:30
Book Bang

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