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いつかは訪れたい、世界の美しい図書館

5/2(木) 10:32配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

 かねて読書は、浮世離れした行為とされてきた。紙に記された文字を何時間も延々と見つめながら、鮮やかな幻覚を見ているのだから。

ギャラリー:いつか訪れたい、世界の美しい図書館 22選

 そうだとすれば、本好きというのは変わり者の集団だ。この世界を脱出して別の世界に浸り、一人きりで長い時間を過ごす。訪れる世界は多様で、人間の知識と同じくらい無限にある。そして、そんな風変わりな人たちが集まる場所こそが、図書館なのだ。

 古代の聖職者たちにとって、図書館は神聖な知識の宝庫だった。初期の科学者たちが技術や医学を進歩させることができたのも、図書館のおかげだ。近代の公共図書館の出現には、市民社会の願いが表れている。つまり人々は、読みたい、知識を増やして学びたい、そして積極的に視野を広げたいと願っていたのだ。

 もちろん、市民社会はたびたび脅かされてきた。図書館も例外ではない。戦争や火災で破壊された図書館としては古代都市アレクサンドリアの図書館が有名だが、プラハのストラホフ修道院図書館のような比較的知られていない例もある。この図書館は火災で損なわれ、その後も数世紀にわたり侵略や戦争に翻弄された。

 そうした破壊的なものでなくとも、図書館には日々の課題がある。古代の遺物である書物を、時間の経過による劣化、さらには害をもたらす者から守るという課題だ。ナポリのジロラミーニ図書館は2012年、犯罪集団によって組織的にコレクションを盗まれる被害に遭ったが、世界中の司書や愛書家たちが協力し、盗まれた蔵書の大部分を見事に元に戻すことができた。

 文化遺産の保護を任務とする司書たちは陰の英雄であり、防衛の最前線といえる。しかしポルトガルの司書には、ちょっと変わった味方がいる。コウモリだ。コインブラのジョアニナ図書館や、マフラ国立宮殿図書館ではコウモリが飼われており、本好きの昆虫を寄せ付けないことに成功している。

 本そのものの価値とは別に、図書館自体に畏敬や驚嘆を覚えることがしばしばある。

 王立ポルトガル文学館は、壮麗なポルトガル後期ゴシック様式を復活させたネオマヌエル様式建築の典型だ。内部の立派さに加え、建物の石灰岩のファサードにはバスコ・ダ・ガマなどポルトガルの探検家が描かれている。

 パリのサント・ジュヌヴィエーヴ図書館はアンリ・ラブルーストが設計し、近代図書館の先駆けとなったし、シアトル公共図書館はレム・コールハースの設計による現代の驚異だ。

 中世前期に写本作りで有名だった聖エメラム宮殿の図書室や、旧貴族の個人コレクションが見られる図書館もある。自分だけの新しい世界を探求するきっかけになるのではないだろうか。

文=MELISSA MESKU/訳=高野夏美

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