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弁護士団体の要請を無視、“反社会的”教団の式典に来賓出席する閣僚たち<政界宗教汚染~安倍政権と問題教団の歪な共存関係・第11回>

5/6(月) 8:32配信

HARBOR BUSINESS Online

 2018年6月、統一教会(世界平和統一家庭連合)の問題に取り組む全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)が参議院議員会館で緊急院内集会を開き、同教団からの支援を受けないよう衆参両議院の全国会議員に要請する声明文を採択、各議員会館内の全議員事務所に配布した。

⇒【画像】2万人信者集会に来賓出席した6人の国会議員たち

 しかし、全国弁連の要請を無視するかのように、その後も教団が相次いで開催した大規模集会に来賓出席し祝電を贈る国会議員が続出。その中には秘書を代理出席させる閣僚や、現在、閣僚を務める議員もいた。

◆恥知らずな国会議員に注意を促す緊急院内集会

 6月1日、東京永田町の参議院議員会館会議室に集ったのは全国弁連所属の弁護士や支援者など約50人。複数のメディア関係者も取材に訪れた。

 緊急院内集会の冒頭、全会一致で「政治家の皆さん、家庭連合(旧統一教会)からの支援を受けないで下さい」と題した声明文が採択された。

「政治家が同教団の式典へ来賓参加し祝電を贈る行為は教団側にお墨付きを与え反社会的な活動を容易にするものであり、その連携がどのような社会的弊害をもたらすか考えるべき」との意の内容が記載された声明文は、統一教会との関係について国会議員に注意と再考を促すものだ。

 自民党を中心とする国会議員と同教団との緊密関係が顕著となる中で、全国弁連が直接行動に打って出たのだ。

◆「議員会館で日常的接触」

 院内集会に参加した有田芳生参議院議員(立憲民主党)はこう述べた。

「30年近く前に統一教会信者が国会議員の公設秘書・私設秘書として入り込んでいたことを週刊文春に書いた。統一教会や国際勝共連合の責任者などが議員会館の食堂に来ている。ある議員の事務所の本棚には文鮮明の本が置いてあった。今も日常的接触を行っていると思う。公設秘書・私設秘書の中にも(信者が)いるという可能性は極めて高い」

 声明文は裁判資料や注意喚起チラシとともに、参議院議員会館に隣接する衆議院第一及び第二議員会館内の各議員の事務所にも届けられた。教団との関係が発覚している数名の議員の事務所には、筆者も同行した。その際、幾人かの当該議員の秘書に議員と教団との関係を尋ねると、どの事務所も一様に教団との直接の関わりを否定、ある議員の秘書は地元選挙区の事務所での付き合い程度ではないかと答えた。

 当日は国会(衆議院)の会期中だったため衆議院議員は全員不在、ほとんどの事務所では秘書が応対したが、弁連メンバーによると在室していた参議院議員のうち数人から事務所内に招かれ歓談したという。また、声明文を受け取ったある自民党議員は同教団からの接触について「よく知っている、距離を取るスタンスでやっている」と答え、別の議員は「自分のところにも統一教会の工作員がいたことがあった」と話すなど、同教団の政治家工作があらゆるところに張り巡らされていることをうかがわせた。

 声明文配布後、全国弁連の山口広事務局長は、声明採択と全国会議員への配布の意義を強調した。

「30年の全国弁連の活動の中でこのような形でやるのは初めて。議員が統一教会の活動に参加し名前を出して『一緒にがんばりましょう』と言うこと自体が信者にとって自民党からあるいは政権側から認知されたと内部にも外向けにも宣伝する格好の口実になる。統一教会が組織活動をする時に自民党、あるいは政権に近しい方々から認知をされているということが、実際に浸透していく格好の口実になる。霊感商法、家庭崩壊、マインドコントロールの問題を起こしている宗教団体だと議員の方々に知っていただき、知っているにもかかわらず付き合っているとするならば、その議員の体質などの問題を正面から取り上げるためのきっかけとしても、今回の活動は重要と痛感した」

◆全国弁連に教団が抗議“御注進”政治家の存在

 一方、教団と繋がる政治家や秘書の動きも迅速だった。全国弁連関係者によると、同月中旬、教団本部の総務局長名で抗議文書が送付されてきたほか、声明文と一緒に配布されたチラシ「宗教の勧誘であることを隠して近寄る 統一教会=家庭連合にご用心 学生生活だけではなく人生・生活までも破壊される」に「様々な団体」として記載された勝共UNITEを所管する国際勝共連合からも同様の抗議があったという。当該抗議文書は、全国弁連による声明文や配布資料を全国会議員事務所とメディア関係者から回収した上で、教団の名誉を棄損したことを陳謝する謝罪文を配布するよう求めるもので、誠意ある対応が見られない場合には法的手続きを検討するとしていた。

 想定されていたが、全国弁連の声明文配布を教団へ御注進に及んだ政治家や秘書がいたということになる。御用聞き政治家や信者秘書の存在が改めて浮かび上がった。

 全国弁連の要請を尻目に、7月1日と22日、教団が開催した大規模信者集会に閣僚クラスを含む多くの国会議員が来賓参加し、祝電を贈った。

◆国会議員6人が来賓出席、47人が祝電の衝撃

 緊急院内集会からちょうど一月後となる7月1日、教団は全国から2万人の信者を動員し最高権力者・韓鶴子総裁を主賓に迎え、さいたまスーパーアリーナで『日本宣教60周年記念 2018神日本家庭連合 希望前進決意2万名大会』を開催した。

 大会への参加の有無にかかわらず、全国の信者全員に1万円の祈願書献金が課せられた。実質信者数とされる10数万人で単純計算すると10億円以上を荒稼ぎしたことになる。

 この欺瞞的な献金集め集会に6人の国会議員が来賓参加し、そのうち2人が壇上から祝辞を述べた。来賓として司会者から紹介され、会場の信者に腰を折って御辞儀した議員は以下の6人。

 柳本卓司参議院議員(自民、大阪)、工藤彰三衆議院議員(自民、愛知4区)、宮島喜文参議院議員(自民、全国比例)、三ツ林裕巳衆議院議員(自民、埼玉14区)、神山佐市衆議院議員(自民、埼玉7区)、本村賢太郎衆議院議員(無所属、神奈川14区)。

 本村以外は全員自民党の国会議員だ。そのほか、多くの国会議員秘書や地方議員の来場もアナウンスされた。また、47人の国会議員から祝電が届いたことが紹介され、その中から逢沢一郎衆議院議員(自民、岡山1区)と木村義雄参議院議員(自民党、元厚労副大臣)。ともに教団イベントに複数回参加している議員だ。

 柳本は、韓鶴子を「韓鶴子総裁様」教団の徳野会長を「徳野会長先生」と呼称し「敬意を表するとともに喜びを分かち合いたい」「真(まこと)の父でございます文鮮明先生は私の早稲田大学の先輩でございました」などと発言。しかしながら文鮮明が早稲田大学に在学していた事実はない。文が通っていたのは早稲田高等工学校だ。当初、文は早稲田大学卒業と標榜していたが、後に学歴詐称との指摘を受けている。柳本は教団側の歴史修正を知らなかったようだ。

 工藤も「このような素晴らしい大会にお招きいただきお礼申し上げます。60周年、そして様々な場所でこのようにご挨拶させていただいております。光栄の極みでございます。3年前、世界平和統一家庭連合、この家庭という文言が入るセレモニーで間違えてしまいました。真(まこと)のお父様を真の親方様と言ってしまいました。今日は皆様とともに韓鶴子総裁、真のお母さまとともにこのようなお祝いの場を設けることができた、本当に嬉しく思います」と会場の笑いを誘いつつ、挨拶した。

◆3世信者スピーチと2世信者の「無条件ダンス」に目を潤ませる最高権力者

 大会は教団元日本会長の孫娘である3世の学生が“孝情スピーチ”を行った他、2世信者たちが韓鶴子総裁への忠誠を誓って「無条件の信仰を奉献する」“無条件ダンス”を披露。壮年男性信者3千人による教祖夫妻への思慕ソング合唱の際には、スーパーアリーナが北朝鮮のマスゲーム会場を彷彿とさせる異様空間と化した。

◆430家庭の伝道を指示

 主賓講演で韓鶴子総裁は「全祝福家庭が神氏族メシアとして430家庭の勝利をして欲しい」と“御言(みことば)”を述べた。これは、合同結婚式を受けた家庭はこの先430家庭を伝道するよう指示するものだ。この「430」という数には聴き覚えがある。日本統一教会では2014年ごろまで「430数勝利」として一祝福家庭あたり430万円の献金納付が指示され、達成した家庭に天福函なる経典類を納めた箱を授けていた。430万円献金指令の次は430家庭の伝道指令という流れだ。

 韓鶴子はさらに「日本が過去の過ちを認め天に侍る『神日本』になる事」として「天は近代史において過ちを犯した日本を赦し、神の国として祝福して下さいました。その事への感謝と責任を自覚し、より高い次元で世界の発展に貢献する母の国になって欲しい」と“御言(みことば)”を語った。

 この教団最高権力者は大会当日夜に開かれた祝勝会でも「日本、特に指導者層の人たちは、近代史における過ちをはっきりと認めなければならない」と発言、日本の教団幹部に「ちゃんと日本の指導者たちに、正しい歴史観を教育しなさい」と指示した。そんな韓鶴子の願いは「日本が母の国の使命を全うすること」だという(参照:『世界家庭2018年9月号』光言社)。日本に課せられた「母の国の使命」とは如何なるものなのか。それは3週間後の岡山での“1万人”大会で明らかとなった。

◆現役閣僚の秘書が代理出席、閣僚が祝電

 教団は7月22日にも岡山県のジップアリーナ岡山で「1万人集会」と銘打ち大規模信者集会『復興祈念2018孝情文化ピースフェスティバルin OKAYAMA』を開催した。予てから「1万人の信者数を達成した都道府県に韓鶴子総裁が赴き、孝情文化フェスティバルを開催する」としていたが、韓鶴子は来日せず、自身の“代身”として送った娘の文善進世界会長がメインスピーカーを務めた。

 この式典にもやはり多くの自民党国会議員が参列。来賓として紹介されたのは埼玉の2万人大会に祝電を贈った逢沢一郎(岡山1区)の他、現法務大臣の山下貴司衆議院議員(岡山2区)、北村経夫参議院議員、そして当時の現役閣僚・厚生労働大臣の加藤勝信(岡山5区、自民党岡山県連会長、現自民党総務会長)。加藤は秘書を代理出席させ、自身が贈った祝電も読み上げられた。加藤大臣の祝電には「心よりお喜び申し上げます」「敬意を表し感謝を申し上げます」などの文言があった。

 他に祝電を贈った国会議員として橋本岳衆議院議員(岡山4区)も紹介された。

 北村は、本連載で触れてきたように安倍首相の依頼によって統一教会が投じた組織票の上乗せで2013年の参院選において初当選した議員だ。当選後数年は教団サイドからのアプローチを無視していた北村だが、今夏の参院選への危機感からか17年以降、教団イベントへの積極的参加が目立つ。安倍政権と統一教会との関係を象徴する政治家である。

 そのほか、26人に及ぶ地方議員の名も読み上げられた。これらの地元の県議会議員や市議会議院は来賓として出席しただけではなく、自然災害直後の同大会の開催について教団地区長や教区長にアドバイスをしていたことが発覚している。

 そして来賓代表として登壇し祝辞を述べたのが衆議院政治倫理審査会会長の逢沢一郎だ。逢沢は以下の発言でリップサービスに勤しんだ。

「ジップアリーナがこんなに大勢の人で、ご来会の方で超満員になったのは私、逢沢一郎は初めて、初めて拝見をいたしました!新記録であります!感動いたしております!」

「このピースフェスティバルが復興復旧の力になるように」

「徳野先生、会長からもご紹介がございました、総裁より本当の高額な多額な心のこもったご奉仕をいただきましたことご寄付をいただきましたことをわたくしからも厚く御礼申し上げます!」

「昨年12月の大会でもご報告した、NYで国連事務総長に会って直接、岡山での平和宣言採択をご報告させていただきたい」

「日韓トンネル構想も具体化の道筋が見えつつある」

◆「(日本は)赦すことのできない民族」韓鶴子総裁の“みことば”に驚愕

 筆者が注目したのは韓鶴子の“代身”教祖夫妻の5女・文善進世界会長が代読した韓鶴子の“御言(みことば)”だ。その内容から日本人信者に課せられた過重な負担“責任分担”が改めて可視化された。

「私は日本に言いたいです。私たちがひとつになるためには、過去に誤ったことを認め、これからは未来のために良くしていこうと手を繋いでいかなくてはなりません。人間的に考えれば赦すことのできない民族です。しかし天の摂理において、真の父母は日本を世界のために生きるエバ国家、母の国として祝福しました。母の特徴は自分を顧みず全てを惜しみなく与えてくれることです」

「人間的に考えれば赦すことのできない民族」と贖罪意識を植え付けられた「母の国」日本の信者は「自分を顧みず全てを惜しみなく与え」続け、毎年300億円を韓鶴子へ“TP(真の父母)感謝献金”として納めている。その原資はもちろん霊感商法など様々な手段で日本人から収奪したお金だ。埼玉で韓鶴子が語った日本に課せられた「母の国の使命」とは「自分を顧みず全てを惜しみなく与える」ことだった。韓鶴子が日本や日本人信者をどのような存在として捉えているかがこの“みことば”に示されている。

 では、日本と日本人を貶め搾取する韓鶴子の“御言(みことば)”を“代身”として代読した文善進は母親の“みことば”をどう捉えているのか。徳野会長曰く「ハーバード大学を優秀な成績で卒業された才媛の善進様」は大会当日、祝勝会に向かう車の中で「オンマのスピーチがどれほど素晴らしいか、よく分かりました」と話していたという。

◆会場に虚偽の届け出、来場者数も水増し

 岡山県で孝情文化フェスティバルを開催したということは、岡山県だけで1万人の信者数を達成したということになる。しかし、この大会には関西、九州、四国からも多くの信者が動員され、参加した信者にはやはり1万円の祈願書献金が課せられた。

 大会翌日に更新された教団公式サイトにも「約1万人が参加」と記述されていた。しかしながら、会場の岡山ジップアリーナのキャパシティは5千席あまりで1万人を収容することは不可能だ。実際、教団は会場側に来場者数を4800人と届け出ていた。しかし当日、ふたを開けてみると6500人ほどが来場。また、本来であれば規定通りに総入場料の10%(650万円)を基本料金にプラスして会場側に支払わなければならないところだが、表向きには入場無料としていたため、かかった会場経費は基本料金のみだ。こんなところにも教団の体質が表れている。

 教団の徳野会長は翌週、富山家庭教会で行った講演で「ジップアリーナ岡山の20年近い歴史の中では4、5千人が集まったのが最高で、今回の1万人は新記録」と喧伝した。しかし、そもそも同アリーナの収容人数の上限は5千席であり、この徳野発言は頓珍漢なものだ。その頓珍漢さに輪をかけるように来賓出席した国会議員の一人は徳野会長に「おたくの団体が岡山の新しい歴史を作りました」と話していたという(参照:『世界家庭2018年9月号』光言社)。

◆感謝献金収入300億円の0.1%を還元、欺瞞性の高い災害ボランティア

 大会では、西日本豪雨被害に対し韓鶴子が日本赤十字社に2千万円、被害に遭った教会員に1千万円の義援金を寄付したことが発表された。この合計3千万円の義援金の原資も日本の被害者のお金だ。日本の信者が献金ノルマとして納めた感謝献金300億円を毎年受け取っている韓鶴子にしてみれば、総年間収入のわずか0.1%に過ぎない。

 “エバ国家”“母の国”日本には「全てを惜しみなく」財産献納と献身を課す“真の母”韓鶴子。「母の特徴は自分を顧みず全てを惜しみなく与えてくれることです」と言いながら、“真の母”は、わずか年間収入の0.1%しか還元しないという吝嗇ぶりだ。

 また、大会では被災地でのボランティア活動を行う『世界平和家庭連合 平和ボランティア隊UPEACE』を豪雨被害の残る岡山と広島に派遣していると発表し、社会貢献活動をPRした。UPEACEは公式サイトで「主に家庭連合の青年・学生たちで構成」「家庭連合会員の有志による」と標榜しているが、実際には教団の学生組織・原理研究会(CARP)が正体を隠して誘い込んだ学生の中級研修つまり教化の手段にも使われている。

◆声明無視の政治家と、そんな政治家を“国家復帰”に活用する教団

 全国弁連からの声明文を受け取ったにもかかわらず、同教団と付き合いを続ける恥ずべき国会議員がこれほど多く存在しているということは看過できない事態だ。両大会の来賓議員や祝電議員に質問書を送付したが、回答は得られなかった。

 次稿では、2018年9月と10月に幕張と名古屋で行われた教団の青年大会に来賓出席した自民党衆議院議員の詳細、そして10月に組閣された第4次安倍内閣に初入閣した統一教会ずぶずぶ代議士を直撃した顛末をレポートする。

 そして新たに入手した教団内部資料から、統一教会を日本の国教にするという“国家復帰プロジェクト”を検証する。そこには、韓鶴子が広島への原爆投下を引き合いに日本へ「悔い改め」を迫り「国家復帰」のために「日本の最高指導者」を「屈服」させ「教育」する指令が書かれていた。(文中敬称略)

<鈴木エイト(やや日刊カルト新聞主筆)・Twitter ID:@cult_and_fraud>

すずきえいと●滋賀県生まれ。日本大学卒業 2009年創刊のニュースサイト「やや日刊カルト新聞」で副代表~主筆を歴任。2011年よりジャーナリスト活動を始め「週刊朝日」「AERA」「東洋経済」「ダイヤモンド」に寄稿。宗教と政治というテーマのほかに宗教2世問題や反ワクチン問題を取材しトークイベントの主催も行う。共著に『徹底検証 日本の右傾化』(筑摩選書)

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最終更新:5/6(月) 8:32
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