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平成のポップカルチャー:昭和へのロング・グッドバイ

5/7(火) 11:55配信

nippon.com

庄司 かおり(nippon.com 2019.04.29)

2019年4月30日、天皇の退位とともに平成が終わりを告げる。平成文化のトレンドを振り返りながら、昭和と新たな時代をつなぐ懸け橋となった30年間の軌跡をたどる。

昭和に終わりを告げる30年

1989年1月、64年間にわたった昭和が終わり、平成(1989-2019)が幕を開けた。「平成」は、平和を意味する「平」と、「~になる」という意味の「成」という漢字を組み合わせた言葉で、前の時代を象徴するあらゆるものから脱却するという暗黙の願いが込められていた。昭和は、太平洋戦争、真珠湾攻撃、2度の原爆投下、敗戦後の困窮など、数々の苦難に見舞われた一方で、バブル景気に沸き、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」ともてはやされた時代でもあった。

平成になると、一夜にして穏やかな空気が流れ始めたように感じられた。とはいえ振り返ってみると、厳しい社会変化が起きた時代だった。一方の肩には20年に及ぶ不況が、もう一方の肩には社会の少子高齢化とひきこもりなどの孤独化が重くのしかかった30年だった。昭和が「大言壮語の時代」だったのに対し、平成は「小型化と合理化の時代」だと言える。ポップアイドルさえも小型化し、等身大の親しみやすさが魅力のジャニーズ事務所の少年たちや、細身でキュートなAKB48の前田敦子など、アイドルがかつてよりも身近な存在になっている。また「平成の歌姫」と呼ばれたスレンダーで可憐(かれん)な安室奈美恵は、2018年9月に25年間の輝かしいキャリアの幕を閉じた。

「仕事」にも生きがいを求める女性たち

平成の大半は、昭和の「負の遺産」を改善、時には取り除くことに多大なエネルギーを費やした。例えば、公衆トイレは「しゃがむタイプ」の和式便座が一般的だったが、今やそのほとんどが世界に名高い日本製「ハイテクトイレ」に取って代わられた。興味を持ったバラク・オバマ前米大統領が、数台をホワイトハウスに設置したともうわさされている。

また思春期の女子高生を象徴する定番の「セーラー服」に代わり、最近人気があるのはより知的に見える昔の「ブレザータイプ」の制服。ガールズ・カルチャー時代を生み出した。しかし一方では、女子学生を商業的に食い物にして搾取するJK(女子高生)ビジネスや “何でもあり” の現象も起きた。

平成は、恋愛はお金の大切さと比べると取るに足らないものかもしれない、と多くの女性が気付きはじめた時代でもある。経済力がないために家事に明け暮れ、単調で退屈な結婚生活に縛られてきた昭和の母親のようにはなりたくないと考える人が増えた。昭和後期のトレンディードラマでは、愛と結婚が女性の幸せの二大要素だったが、平成のテレビドラマでは、恋愛だけではなく、仕事にも生きがいを見いだす女性たちを描いている。

スタジオジブリと宮崎駿監督が制作したアニメ作品によく登場する少女たちは、こうした平成の活発な女性たちのイメージを投影している。自立心旺盛で、偽善を嫌い、真実を追い求め、試練に直面しても逃げることなく立ち向かう。

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最終更新:5/7(火) 11:55
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