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予見医療ツールからピアノを演奏できる義手まで!AIによって医療はどう変わるのか?

5/8(水) 11:51配信

@DIME

様々なシーンで活用されつつあるAI(人工知能)。将棋のAIがプロ棋士に勝利し、自動運転車の実用化が加速するなど目覚ましい発展を見せているが、医療の分野でもその存在感を増しつつあるようだ。

そんな、医療とAIの関係について今回、アメリカ・カリフォルニア州にある半導体メーカー・NVDIAが「AI は医療をどのように変革しているのか」というテーマの論文を発表したので、紹介していきたい。

AIは患者のケアをどのように変えているのか
患者のケアとは、緊急搬送で下される意思決定から主治医が年に1度の健康診断で与える助言にいたるまで、重大な選択の連続だ。

課題は、可能な限り迅速かつ効率的に患者を適切に治療すること。ランセット誌に掲載されている2018年の研究によると、世界の半分近くの国や地域では人口 1,000人あたり医師が1人未満しかいない。これは質の高い医療に最低限必要な数の3分の1だ。

一方、医療データのデジタル化が進むにつれ、医療機関が収集、参照する情報の量は増加している。

集中治療室では、24時間注意を必要とする患者、解釈を要する絶え間ないデータ フィード、そして迅速で正確な決定が不可欠であるといったことが、困難な状況の中で同時に発生する。

MITコンピューター科学・人工知能研究所の研究者は、ICU Intervene というディープラーニング ツールを開発した。

このツールは1時間ごとのバイタル サインの測定値を使って患者が呼吸の補助や輸血、または心機能改善のための治療介入を必要としているかを8時間前に予測する。

デンマークのスタートアップ企業である Cortiは、救急対応コールサービスという、もう1つの時間的制約のある対応に取り組んでいる。同社は救急通話の音声を分析し、通信指令係が心停止症状を1分未満で特定できるよう支援するため、NVIDIA Jetson TX2 のモジュールを使っている。

NVIDIA Inception programメンバーのLexiconAIは、医師が患者と毎日より多くの時間を過ごせるよう支援している。

このスタートアップ企業は、音声認識を使って医師と患者間の会話から医療情報を取り込むモバイル アプリを作成し、電子カルテの自動入力を可能にした。



AIは病理学をどのように変えているのか
毎年数百万枚の医用画像が撮られており、同時に数億回の組織生検が行われている。病理学者は、長らく検査サンプルの分析をして診断に物理的なスライドを使用してきたが、こうしたスライドはデジタル病理データセットを作成するためにスキャンされることが増えている。

Inception スタートアップ企業 Proscia はディープラーニングを使ってこうしたデジタル スライドを分析しており、3つのよく見られる皮膚病変の分類で99%を超える正確さを達成している。

AIを使うことで診断の標準化が促進されることは重要。疾病の種類と段階によっては、2人の病理学者が同じ組織を検査すると、半数以上のケースで診断が一致しない。

もう1社のInceptionスタートアップ企業 SigTuple は、血液と体液を分析するためのAI顕微鏡を開発。この顕微鏡はレンズで物理的なスライドをスキャンし、クラウド上の SigTuple AIプラットフォームまたは顕微鏡自体をGPUで高速化したディープラーニングを使い、スキャンしたデジタル画像を分析する。

自動的にスライド ガラスをデジタル画像に変換して結果を解釈するスキャナーと比べると、SigTupleの顕微鏡はわずかな費用で同じことができる。同社は、地球規模の病理医足という、多くの国で起きている重大な問題をこの顕微鏡が解決することに期待しているようだ。

AIは予見医療をどのように変えているのか
症状が現れる数カ月前に疾病のリスク要因を検知するため、多数のAIツールの開発が進んでいる。こうしたツールは、医師が早期診断、余命調査、または予防措置を行う上で役立つ。

ディープラーニング モデルが大規模データセットのパターンを発見する能力を活用するので、こうしたツールで電子カルテ、身体的特徴、または遺伝情報から知見が抽出できる可能性がある。

Face2Geneというモバイル アプリは、顔認識とAIを使って患者の顔写真からおよそ50種の遺伝的症候群を特定している。世界中の遺伝学者の約70% が使用しており、正確な診断にかかる時間を削減するのに役立つ可能性がある。

ニューヨーク大学の研究者が開発した別のディープラーニング ツールは、臨床検査、レントゲン、そして診断書を分析し、従来の方法より3カ月早く心不全、重症腎臓病、肝機能障害といった疾患を予測している。

AIと様々な電子化されたヘルスデータを用いることで、研究者は糖尿病などの疾病を予測する可能性がある、数百の健康測定値の間の新しい関連性を発見することができた。



AIは医療アプリをどのように実現しているのか
医療は診療所で始まり、診療所で終わるわけではない。また、ウェアラブル デバイス、スマートフォン、そして IoT デバイスがあるので、場所を問わず健康状態をモニターするためのデバイスには事欠かない。

たとえば、SpiroCallというサービスは、フリーダイアルに電話をかけるかスマートフォンのアプリでサウンド ファイルを録音するかのいずれかの方法でスマートフォンに息を吹き掛けることで、患者の肺機能をチェックすることができる。データは中央サーバーに送信され、ディープラーニング モデルを使って肺の健康状態が評価される。

競技場で脳震盪を起こすリスクのあるアスリートのため、スマートフォンのカメラを使ってアスリートの瞳孔が光にどのように反応するかを分析する AI対応のアプリもある。瞳孔の反応は、医療専門家が脳損傷の診断に使用している指標。

精神衛生の領域では、カナダのスタートアップ企業であるAifred Health が個々の患者により良いうつ病治療法を調整するために GPU で高速化されたディープラーニングを使用している。患者の症状に関するデータ、人口統計、そして医学的検査結果を用いて、このニューラルネットワークは医師の治療を支援している。

AIは障害者向けデバイスをどのように実現しているのか
世界中で10億人の人々が何らかの障害を抱えているという。AI対応のテクノロジはこうした人々の一部に、より高い自立性を提供することができ、日常の作業を行ったり出歩いたりすることを容易にしている。

Inception program メンバーのAiraは、スマート眼鏡に接続するAIプラットフォームを構築し、薬の瓶のラベルを読むといった行為などで視覚障害のある人を補助している。

また、オハイオ州立大学 (OSU)のある教授は、周囲の雑音をフィルターしつつ音声の音量を上げることができる補聴器を作るため、GPUとディープラーニングを使用している。

OSUと非営利研究機関であるBattelleの研究者は、思考の読み取りと麻痺した四肢の動作の回復を可能にする、ニューラルネットワークを利用した脳とコンピューター間のインターフェースを開発中だ。

また、ジョージア工科大学のチームは、ジャズ ミュージシャンのジェイソン・バーンズ (Jason Barnes) が 5年ぶりにピアノ演奏することを可能にしたAI義手を開発した。この義手は筋電センサーを使って筋肉の動きを認識し、指の個別制御を可能にしている。

出典元:NVDIA

構成/こじへい

@DIME

最終更新:5/8(水) 11:51
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