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定説くつがえす 史上最長26メートルのクジラ化石が見つかる

5/9(木) 7:14配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

化石からわかること

 前述の研究で最初の分析を行ったのは、米シカゴ大学のグレアム・スレーター氏だ。同氏は、360万年前とするマルクス氏の研究結果は、自身が導き出した範囲とも一致する。もっと以前からクジラが巨大化していた可能性もあるが、研究から導き出された「360万年前」は妥当な線ではないかと述べている。

 360万年前と言えば、地球の海水温が下がった頃だ。クジラが得る食料も変化しただろう。スレーター氏は、冷たい水が上がってくる場所で獲物の密度が非常に高くなり、それが巨大クジラの誕生につながったと考えている。ただし、マルクス氏は「シロナガスクジラの巨大化は360万年前よりも以前から起きていた可能性もある」としており、この点でスレーター氏の意見とは異なっている。

 マルクス氏は、今回の分析が、直接、彼の仮説を裏付けるものでないことは認めている。巨大クジラの化石は収集自体が難しく研究も難しい。クジラの大きさの進化について正しく知るには、さらなる研究が必要だ。

 マルクス氏はペルーのあるプロジェクトにも関わっており、そこでは、未発掘のクジラの化石が複数見つかっている。現時点では予備的なデータしか得られていないが、このデータを分析に加えることで、クジラが突然巨大化したという説は弱くなるとマルクス氏は考える。

 マルクス氏は、今回の論文に「同時代の巨大クジラの化石は複数見つかっており、まだ詳しく分析されていない」と記している。同氏は、巨大クジラの化石が見つかり記録されるたびに、クジラが徐々に巨大化していったという説が優勢になると見ている。

 台湾大学の古生物学者である蔡政修氏は、米カリフォルニア州で、現在2番目に大きいナガスクジラの貴重な化石が見つかっていることにふれ、マルクス氏同様「ヒゲクジラはこれまで考えられてきたよりも、かなり早く巨大化した」と述べる。

「率直に言えば、今回の化石の発見は驚きではありませんでした」と蔡氏は言う。「もっと大きくもっと古い時代の巨大クジラの化石が、そう遠くないうちに見つかると考えています」

文=TIM VERNIMMEN/訳=鈴木和博

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