ここから本文です

「この世からCが消えたなら」 がん治療に生かすデザインの力

5/9(木) 7:00配信

Forbes JAPAN

街中からCがなくなったら? 2018年11月、渋谷のセンター街を歩きながら中島ナオは夢中でCを探した。

ハンバーガー店の看板、自販機に書かれたドリンク名、巨大スクリーンに映ったミュージシャンの名前。携帯で写真を撮って送信した。「ここにもCありました!」。

2年前、34歳で乳がんの転移がわかった。「デザインの力でがんになっても大丈夫な社会をつくる」。頭の中で温めていた構想はいますぐ実行しよう。無我夢中で走り始めた。

1年後にナオカケルを設立。髪があってもなくても楽しめる帽子ブランド「N HEAD WEAR」を立ち上げた。街中で「素敵ね」と声をかけられると、脱毛を気にする気持ちも軽くなった。あえて目を引くデザインは、従来のイメージに別の視点を提案し、生きづらさを解消するのが狙いだ。

もう一つ、どうしても取り組みたかったのが「がん治療研究」の推進だった。「deleteC」プロジェクトは、元NHKディレクターの小国士朗と渋谷のカフェで着想した。

協賛企業や団体が社名や商品名などから英語のCancer(がん)の頭文字Cを消去する。消費者は支援する商品やサービスを購入。売り上げの一部などを寄付する仕組みだ。

CANCER SOLUTIONS、CRAZY、CAMPFIRE、九州パンケーキ、chocolate、100BANCH、ピースマインド・イープ、Florence、FARM CANNINGなどが協賛する。

日本ではがんの治療研究、特に若年世代や希少がんを対象とする治験が遅れがちだという。deleteCで集めた資金はこれらのがんを対象にした臨床試験などに充てられる。

中島が使っている抗がん剤は2年間効果が続いているが、いつかは効かなくなるという。「がんは生涯で二人に一人がかかる身近な病気。企業も個人もCを探すところから行動してみませんか?」。

なかじま・なお◎1982年、横浜市生まれ。31歳の時に乳がんの告知を受けた3年後、がんの転移が発覚。19年5月11日のdeleteCのアクションデーに向けて、小国士朗と国立成育医療研究センター研究員長井陽子の3人で活動。

Forbes JAPAN 編集部

最終更新:5/9(木) 7:00
Forbes JAPAN

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事