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インドネシアの首都移転計画には、ジャカルタの水没危機という差し迫った事情がある

5/10(金) 19:11配信

WIRED.jp

インドネシアのスマトラ島で4月末、豪雨による洪水が発生した。こうしたなかインドネシア政府は、首都をジャカルタからジャワ島外に移す計画を明らかにしている。

水没の危機にあるヴェネツィアを、巨大な「壁」は洪水から本当に救えるのか?

インドネシアでは首都移転というアイデアは決して新しいものではない。初代大統領のスカルノが1957年に検討課題として上げてから、これまでに数回にわたって議論されてきた。移転理由のひとつは世界最悪とも言われる交通渋滞だが、人口1,000万人超のジャカルタは、はるかに大きな危機に直面している。海面上昇と地盤沈下だ。

このふたつの事象が組み合わされば、2050年までにはジャカルタ北部の95パーセントは海に沈むという試算も出ている。そして、これはジャカルタだけが抱える問題ではない。世界の多くの都市が海に飲み込まれつつあるのだ。これについては、いますぐ気候変動を完全に止める以外にできることはあまりない。

違法な地下水利用が地盤沈下を加速

海面上昇は人類の営みの結果としての気候変動によるものだが(なお、温室効果ガスの大半は大企業が排出している)、ジャカルタの地盤沈下の原因は別のところにある。ジャカルタでは違法な地下水の汲み上げが横行しており、地面が降下し続けているのはこのためだ。

地中に水の入った巨大なペットボトルが埋められていると考えてみよう。一定量の水を取り除いて上からぎゅっと押せば、ペットボトルはつぶれてしまう。ジャカルタの一部地域では、10年間で最大10インチ(約25cm)も地盤が沈下したという。

短期的な影響としては、建物に構造的な歪みが生じたり、低層階が道路面より低くなるといった現象が現れる。さらに、長期にわたる地盤沈下の結果として、いまやジャカルタの市街地の半分は海抜ゼロメートル以下になってしまった。

つまり、高潮が起きればこの都市はあっという間に水没するのだ。2007年には、モンスーンの豪雨で市街の半分が洪水に襲われた。水位は13フィート(33cm)まで上がり、被害額は5億ドル(約550億円)を超えている。

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最終更新:5/10(金) 19:11
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