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カギ針1本で女性の自立支援するスルシィ、BCtA加盟

5/11(土) 11:42配信

オルタナ

関谷さんが大切にしていることの一つは、それぞれのバッグを一人の編み子さんが最初から最後まで仕上げるスタイルだ。一つひとつのバッグには編んだ人のサインが記入され、消費者は付属のハガキで直接メッセージを送ることもできる。

スルシィのホームページでは、編み子さん一人ひとりの多様な背景や近況などが、顔写真入りで生き生きと紹介されている。「単なる働き手や歯車のようには見ていない。一人ひとりを人間として見ている。彼女たちがいなければ、スルシィのバッグは成り立たない」と関谷さんは話す。

刑務所でのバッグ製作―出所後の仕事を

スルシィでは2015年から、工房のあるセブ島カルカル市の刑務所に継続的に通い、収監されている女性たちにバッグの編み方の指導を続けてきた。

「フィリピンでは、高い学歴を持たない人びとにとって、ちゃんとした仕事に就くことはとても難しい。編む技術は一度身に付ければなくなることはない。収監中の女性たちにとって、刑務所を出た後に暮らしていくためにもプラスになる」と関谷さんは言う。

できあがったバッグに対しては工賃を支払っている。そのお金は所内での女性たちの日用品や、家で暮らす子どもの教育費に充てられているという。

関谷さんによれば、ドゥテルテ大統領による麻薬取締強化の影響で、取り組みをはじめた2015年ころに比べ刑務所に収監されている人数は3~4倍ほどに増えているとのことだ。「ドラッグの使用で収監されている人がほとんど。子どもを抱えている女性も多く、出所後に仕事を得られるよう支援していくことが重要だ」(関谷さん)

インクルーシブなビジネスでSDGs達成目指す

このほど加盟が決まったBCtAは、2008年に発足した国際イニシアティブ。国連開発計画(UNDP)のほか、オランダ外務省やスウェーデン国際開発協力庁(Sida)など計6つの機関が主導している。多国籍企業を含め現在70カ国、230以上の企業が加盟する。

開発途上国などで暮らす低所得層の人びとを従業員や生産者、消費者など企業のバリューチェーンに含めることで、コミュニティに利益をもたらすインクルーシブビジネスを通じてSDGs(持続可能な開発目標)の達成を目指す。

スルシィは今年3月に加盟が承認された。評価されたのは、編み子の女性に公正な賃金を支払うことで、食料や電気などの生活必需品だけでなく、子どものヘルスケアや教育も保障している点、暮らしと仕事を両立させ自立を支援している点、また天然素材を利用しプラスチックの削減にも資する点などだ(BCtAホームページより)。

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最終更新:5/11(土) 11:42
オルタナ

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