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高齢者の薬物療法の留意点

5/11(土) 8:30配信

月刊糖尿病ライフ さかえ

患者さんのお薬に対する疑問に答えます お薬Q&A【7】高齢者糖尿病の患者さんについて

Q1:糖尿病の療養の上で、かかりつけ医、かかりつけ薬剤師との連携は必要ですか?

A:「なぜ、わたしだけが」「食事も気を付けているのに」など、患者さんから、さまざまな声をお聞きします。わたしはまず、「これから10年、現状を維持し、できるだけ健康に過ごしていくためにどうしたいですか?」と尋ねます。変わりたい自分を思い描き、夢を語ってもらうことで患者さんも医療者と共にチームで治療に取り組む気持ちになれば、より良い個別化*1での治療を行うことができます。

高齢者の薬物療法では特に、種類・数の多さ、不適切な内服、必要な薬の欠如などからの検討も必要です。さらに医師の指示通りに服用・使用できているのかも重要で、指示通りに服用できず、残薬が多いのであれば、まずは薬剤師に伝えましょう。そこで検証し、その状況を医師に伝えてもらうことでより良い治療への見直しにつながります。血糖コントロールが不良ならばなおさらです。

また、患者さん自身も使用目的を認識し、効果を実感することが重要です。その際に薬剤師は薬の専門家として、医師と患者さんやその家族をつなぐ大事なパイプ役となります。日常的にサポートが必要な方には、糖尿病薬以外の併用薬、老年症候群への注意も含めて治療をできるだけ単純化する必要もあります。まずは、かかりつけ医、かかりつけ薬剤師などと協働で取り組んでいきましょう。

Q2:高齢者糖尿病治療の留意点

A:2016年に、高齢者糖尿病の血糖コントロール目標(ヘモグロビンA1c値)が示されました。患者さんの特徴や健康状態:年齢、認知機能、身体機能、併発疾患、重症低血糖のリスク、余命などを考慮して個別に設定されます。

高齢者で重症低血糖が危惧される薬剤*2を使用している場合には目標の下限値も設定されています。それを踏まえて、患者さんを中心に、個別性を重視し、柔軟に取り組むことも必要です。 

 高齢者では自覚症状が乏しく、口渇・多飲も出にくい傾向があり、無自覚性低血糖の可能性や、加齢に伴って重症低血糖の危険性が高くなることへの注意も必要です。

 さらに認知機能の低下、フレイル・サルコペニアとの関連性も指摘されています。

 以上を踏まえて、治療・介護を含め生活に関わるすべての人々が、情報を共有し、サポートすることが求められます。

 また、高齢者では以下のことにも注意を払い治療する必要があります。

・早期には食後の血糖値が高くなる傾向
・心疾患、腎疾患、肝疾患も併発し内臓脂肪も多くなる傾向
・低血糖の危険性の回避

*1 患者さん個人に合わせた適切な医療を提供すること 
*2インスリン製剤、スルホニル尿素薬、グリニド薬など


神戸市立医療センター中央市民病院 薬剤部 副薬剤部長
糖尿病療養指導士兵庫県連合会 理事 奥貞 智(おくさだ・さとし)


※『月刊糖尿病ライフさかえ』2018年7月号より

最終更新:5/11(土) 8:30
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