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暗黒物質は存在する──修正重力理論が当てはまらない銀河が「ダークマター」の実在を裏付けた

5/11(土) 12:14配信

WIRED.jp

ダークマターの正体とは何なのか? その道の研究者にこの質問を投げかけてみれば、返ってくるのはおそらくため息だろう。

【写真】「ダークマター」の可視化に成功

宇宙の総質量の約85パーセントを占めると言われている正体不明の物質、ダークマター(暗黒物質)は、光の反射も吸収もせず、われわれの知るすべての電磁波の周波数を使った観測でも決して見ることができない。

一方で、重力を通して通常の物質と相互作用するので、われわれはその存在を間接的に知ることができる。アインシュタインの一般相対性理論が予測する「重力レンズ効果」の通り、その重力でもって時空に歪みを生じさせ、周辺を旅する光の経路をねじ曲げてしまうからだ。

また、銀河の回転速度は、観測可能な物質の総質量から計算できる速度よりもずいぶん速いことがわかっている。このことからダークマターは、回転する銀河内の星々が遠心力で飛ばされずに済むほどの重力を補っていると考えられている。

このように奇妙なふるまいをする暗黒物質は、これまでどんな手段をもってしても直接観測できたことがない。このため、よもや重力を説明する新しいアイデアが必要だと「ダークマターなど存在しない」という学説まであるほどだ。

しかし、このたび発表された2つの論文は、暗黒物質を必要としないモデルを説明するために力学の法則に変更を加えた「修正ニュートン力学」を基盤とするすべての仮説を否定し、ダークマターの確かな存在を示す観測結果を明らかにしている。これにより、実在するかどうかを焦点とするダークマター論争に終止符が打たれるかもしれない。

銀河形成理論を揺るがす「ダークマターを含まない2つの銀河」

昨年、ダークマターを含まない銀河「NGC1052-DF2(DF2)」の発見が報道されたのは記憶に新しい。それまで銀河や銀河団の観測には必ずと言っていいほどダークマターの影響がみられ、これらの結果から、すべての銀河はダークマターの繭の中で育まれるものだと思われていた。

ところが今回、ダークマターをほとんど含まないふたつ目の銀河「NGC1052-DF4(DF4)」が、同じ宇宙領域で、しかも1年を待たずに見つかり、「The Astrophysical Lournal Letters」で発表された。これにより、このような銀河が数多く存在する可能性が浮上した。

「見つかったのがひとつだけなら、いくら何度も見直していたとしても、心のどこかで『もしかしたら間違いかもしれない』という疑念が常につきまといます」と、研究チームを率いたイェール大学の天文物理学者ピーター・ヴァン=ドッカムは言う。

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最終更新:5/11(土) 12:14
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