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定年後「何歳まで働くか」を考える際に見落とせない“経済的損失”

5/12(日) 16:00配信

マネーポストWEB

〈定年のない「エイジフリー社会」を構築する〉──自民党「人生100年時代戦略本部」が安倍晋三首相に出した提言書にはそう謳われている。

 現在、企業には定年後も65歳までの雇用が義務づけられているが、令和の時代はそれを超えて70歳→75歳になっても働き続ける社会にするというのだ。それに合わせて年金も75歳選択支給が検討されている。

 この「何歳まで働くか」という問題は、定年後に選択を迫られる最も大きな岐路といえる。

 長く働くほど生涯収入は増えるが、定年後、継続雇用になると給料はガクンと下がる。その後、再就職するにもハローワークの求人の3分の2は月収20万円未満で、しかも、65歳を過ぎれば「求人は警備や清掃、ビル管理、飲食店などがほとんど」(ハローワーク職員)という現実がある。

 見落とせないのが長く働くことによる“経済的損失”だ。せっかく働いた給料から税金・社会保険料がドーンと天引きされる。

 どちらも東京在住で「65歳で完全リタイア」して年金生活(年210万円)に入ったAさんと「65歳から75歳」まで同額の年金をもらいながら月給20万円の会社員として働いたBさんを比較した。

 Aさんは年金収入が年211万円以下なので住民税非課税世帯となり(東京の場合・地域によって額は異なる)、税金ゼロ、国保などの保険料も軽減措置で安い。

 総務省の家計調査報告によれば、70歳以上で2人以上の世帯の平均支出額は月23万円なので、妻の年金も合わせればトントンの生活ができる。

 それに対してBさんは10年で計2400万円稼ぐ計算になるが、ここから税金と社会保険料を天引きされ、その間にざっと460万円ほど払わなければならない。

 その給料から「老後のために」と爪に火を灯すように貯金しても、いざ年金生活に入った後、蓄えた預金まで持って行かれる。

「軽費老人ホーム(ケアハウス)など介護施設の入居費・食費には年金生活者など低所得者への軽減措置があるが、1人1000万円以上の預金があれば、どんなに収入が少なくても軽減措置を受けられない。ケースによっては月5万円くらい余分に払わなければならないから、預金が減っていく。この資産要件は今後、高額療養費や高額介護費などにも適用を拡大することが検討されている」(ベテラン社労士)

 その点、完全リタイアであれば“損失”はなく、軽減措置も受けられる。

 働き続けることで得られるメリット(収入増)は大きい。しかし、それによって失うものも出てくることを考えておかなければ“こんなはずじゃなかった!”という事態にもなりかねない。

※週刊ポスト2019年5月17・24日号

最終更新:5/12(日) 16:00
マネーポストWEB

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