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「何でもあるが…」はダメ会社 明治HD社長が「カール」終売を決めた理由

5/12(日) 6:11配信

NIKKEI STYLE

《連載》トップに聞くセレクション 明治ホールディングスの川村和夫社長

ロングセラー商品の多い食品業界で、明治ホールディングスがブランドの取捨選択を進めている。「ブランドにしがみつくな」。川村和夫社長は社員に呼びかけ、知名度の高い菓子も見切りを付けてきた。「何でもある総合食品会社になってはいけない」。目指すのは個性的なヒット商品だ。

■お菓子新商品 年400から半減

――事業会社の明治の社長時代からブランドの絞り込みを率先して進めてきました。

「明治製菓と明治乳業が統合した時点から事業が多すぎる、ブランド数も多すぎるという問題意識がありました。総合食品みたいな会社になってはいけない。『なんでもありますよ、だけど何もない』という会社になってはいけないんです。勝ち抜くためには、個性をもった食品事業にしないとダメだと考えました」

――ある程度、整理は終わりましたか。

「年間400とか出していたお菓子の新商品は今はほぼ半分です。ブランドもかなり縮小しましたが、まだまだですね」

――社員には「がらくたにしがみつくな」と言ったとか。

「『商品を持っていることに満足するな』『ブランドにしがみつくな』とは言いました。製菓も乳業も長年やってきて、残っているブランドはそれなりの評価をされています。作り手の側で考えると、ブランド力の強さに頼った新商品は自然に増えていきます。本来は商品の付加価値を掘り下げて、しっかりアピールできないといけない」

――ブランドに頼っていると実感した例はあったのですか。

「カールはそうかもしれませんね。ピークは20年前で、(売り上げは出荷ベースで)100億円以上ありました。ただ最大のライバルだったポテトチップスにどんどんシェアを食われていきました。味も変えて、季節商品をいっぱい出しましたが、ここ10年は赤字が常態化。付加価値での競争に勝てなかったのだと思います」

■食品業界はロングセラーで成立している

――ポルテとかも生産終了しましたね。

「ポルテはカールと違って非常に小さい商品。単品ベースだと数億円程度の売り上げで、あまり思い入れはないですね。東日本での終売直前にカールは40億円ありましたので」

――東日本でのカールの販売終了を惜しむ消費者の声が多かったです。

「西日本だけ残したところが精いっぱいのところかなと。あの時は話題になってそこそこ売れたんですが、翌年はさして変わっていないんです。ただ、ブランドは残していますから、コーンスナックとして形をかえて挑戦するのはありえます」

――食品業界はロングセラーが多いですよね。

「今の食品業界は基本的にロングセラーで成り立っているんです。世界的傾向かもしれません。新商品だけを出し続けるビジネスモデルは過去のものになっている気がします。事業効率とバランスさせるために、ロングセラーを変えていった方が外れがないという考え方なのではないでしょうか」

――MJヒット商品番付ではモノが上位に並ばず寂しい感じです。

「もちろんロングセラー頼りではダメです。我々も全く新しいコンセプトの商品やブランドをつくりたいという、極めて強い欲求があります」

「ただ残念ながら今は初年度に大きな売り上げになる商品は出にくい。例えば(機能性ヨーグルトの)『R―1』だけで900億円くらいありますが、最初の年は4億~5億円しかうれなかった。そこから勢いがついて3年目くらいで大型商品になりました。新商品も2~3年の単位で追いかけないと新領域はつくれないかもしれません」

――ニーズが細分化する中、マーケティングをどう工夫していますか。

「そこは一番難しいところです。考えないといけないのは食品が持つべき付加価値。健康にどれだけ貢献できるかは重要な部分です。健康を一番厳しく評価して、そこに耐えられる商品を提案していきます」

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最終更新:5/13(月) 10:23
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