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Netflixの「アンブレラ・アカデミー」は、新タイプの『X-MEN』なのか?

5/12(日) 12:13配信

WIRED.jp

見どころは型破りなシーンの数々

「アンブレラ・アカデミー」は傑作と駄作の中間あたりに位置する作品だ。このシリーズの最大の見どころは、型破りなシーンの数々だろう。

「オペラ座の怪人」を奏でるヴァイオリニストのシーンから始まり、デパートではクイーンの「ドント・ストップ・ミー・ナウ」をバックに銃撃戦が繰り広げられる。止めないでくれって? いいとも、どうぞご自由に。

子どもたちの母親が見るからに1950年代風のアンドロイドなのは、スーパーヒーロー番組で描かれる母親たちの影が薄いことを皮肉っているのだろうか。これは面白い。

それを言うなら、人間の言葉を話すチンパンジーのポゴも面白い。Netflixが大金を払ってニュージーランドのVFX制作企業であるWETAを口説き落とし、この猿を本物らしく動かす特殊効果を担当してもらったという話も相当に面白い。

6人のヒーローたちが、アカデミーとは名ばかりのヒーロー養成学校を去ったずっとあとになってから行動を起こすという展開によって、このシリーズは見飽きた安っぽい筋書きを超越することにも成功している。視聴者は、大人になったばかりの彼らがもがきながら生きていく姿を見せられることになる。

根本的に「アンブレラ・アカデミー」は、機能不全に陥った家族を描き、そこに登場人物たちの特殊能力という要素を加えたドラマだ。そして、悪くない作品に仕上がっている。

スーパーヒーローものを愛する人のために

登場人物を嫌味まじりに紹介させてもらおう。チームを率いるのは、情にもろいブロンドの怪力男。ほかには、正確無比の殺しの腕前を誇るキレやすい男、子どもの姿に変えられた中年男、そしてロバート・シーハン演じる死者と交信できるおしゃべりのヤク中。シーハンはドラマ「Misfits/ミスフィッツ-俺たちエスパー!」でも同じような役どころを演じた。

女性のなかで明らかな特殊能力をもっているのが、セクシー女優ただひとり。その能力というのが、人や物を意のままに操ったり噂を広めたりすること、というのはいただけない。

残るひとりはエレン・ペイジ、『X-MEN』に出演していたエレン・ペイジだ! 何の能力にも恵まれなかった自分は家族のなかの“みにくいアヒルの子”だと、シーズン1のほぼ全体を通してうじうじと悩んでいる姿がとにかくうっとおしい。ややネタバレになるが、終盤になって彼女もすごい能力の持ち主であったことが明らかになる。

結局のところ、スーパーヒーロー番組は、超人ハルクばりの勢いで殻を破る方法をまだ見つけられていないということだ。視聴者のほうもそれを求めてはいない。『エラゴン 遺志を継ぐ者』や『マスターズ/超空の覇者』といった人気作のパクりであることが見え見えであっても、スーパーヒーローものを愛してやまない人が大勢いるのだ。

そんな視聴者たちは、『アンブレラ・アカデミー』も気に入るかもしれない。見ている間は楽しめる。クッキーを次々に箱から口へと運ばずにはいられないように、見れば見るほど同じものがもっと欲しくなってしまうのだ。

EMMA GREY ELLIS

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最終更新:5/12(日) 12:13
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