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次男が60才で結婚!「新しい法定相続人」に遺言書の効力は?

5/13(月) 8:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

弟の結婚で、父の財産は血の繋がりのない家族のものに

しかしその直後、次男に幸運が舞い込みました。60才で結婚が決まったのです。実は、次男には随分前からお付き合いしている女性がいました。その女性の離婚協議が長引いていたため法的な結婚は無理だと諦めていました。しかし、状況が変わり協議離婚が急遽決まったのです。この女性にはお子さんもいらっしゃいました。

ただ、この喜ばしい出来事が次男の気持ちも変えることになります。次男は、田中さんを呼び出しこういいました。

「兄さん、実は、妻との結婚を機に妻の子どもと養子縁組をしました。新しい家族を迎えることを共に祝って欲しい。そして、ここからが本題なのだけど、甥っ子達に財産を相続させるという遺言書を撤回したい。申し訳ないのだけど、新しい家族に財産を相続させたいんだ」

「えぇぇぇぇぇ…」

田中さんは想定外の次男の発言に開いた口が塞がりません。

「おまえ、お父さんの言葉は覚えてないのかい。確かに新しい家族ができたのはお祝いしたいけれど、遺産相続とは別問題だろ。お父さんは血の繋がった孫に相続させたいと考えていたんだぞ。お父さんの知らない他人に財産を相続させるなんて俺は許さないぞ」

「僕にとっては血の繋がった甥っ子よりも、身近で共に生活をする家族が一番大事なんだよ。兄さんにはわからないのだね。もういいよ」

「はぁ、なんだ、その口の利き方は、ちょっと待てよ!」

次男は田中さんの手を振りほどき出ていってしまいました。田中さんは為す術もなく、次男の財産はすべて妻とその子どもへ相続され、田中さんの子どもたちに相続されることはありませんでした。

では、田中さんはどのようにすればよかったのでしょうか。

次男の生活保障を考慮する必要があったなら、賃貸マンションは次男のままでも、自宅部分は田中さんが相続する遺言にしてもらったうえで、その自宅を次男に生涯無償で居住できる旨の契約書を交わすこともできたでしょう。さらに、次男に書いてもらった遺言書は絶対的な拘束力がないことを理解する必要がありました。次男が結婚し新しい法定相続人ができることは想定外とはいえ、あり得ないことではありませんでした。

代替案として家族信託を利用して賃貸マンションと自宅を信託化して次男(そのご家族も)の生活を保障すると同時に、最終的に田中さんの子どもたちに財産を相続させる設計も考えられました。次男の新しい家族を想う気持ちに寄り添い、その生活の保障も確保できる提案をすれば、次男と話し合いの余地はあったかも知れません。

家族間の信頼関係はもちろん大切ですが、遺言書の限界も知ったうえで、問題解決を図ることが遺産分割対策なのです。

牛田 雅志

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最終更新:5/13(月) 8:00
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