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『Blue(ブルー)』刊行記念インタビュー 葉真中顕 平成を駆け抜けるクライムノベル

5/13(月) 11:00配信

Book Bang

平成という時代が終わる。その三十年間の文化・風俗を俯瞰しながら、

児童虐待、子供の貧困、少年犯罪、モンスターペアレント、外国人の低賃金労働など、

格差社会が生んだ闇に迫る、骨太な犯罪小説が刊行された。

『ロスト・ケア』『絶叫』『凍てつく太陽』――。

今もっとも注目される新大藪賞作家が、新作『Blue』について、熱く語ります。

インタビュー・文 円堂都司昭

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――葉真中さんの第二作『絶叫』に登場した刑事・奥貫綾乃が『Blue』に再び登場します。

葉真中 三年くらい前に書下ろしの口約束をして、着手したのが一年前。当初、『絶叫』で狂言回しだった奥貫の再登場を決めた以外は白紙でしたが、天皇が生前退位して平成が終わるというニュースがあった。それで平成史をやろうと考えた。また、もともと普通の育ちかたをしていない子供の話を書きたかったんです。僕が話を作る時はいつも複数の要素を組みあわせる。それで平成の三十年を生きて、子供から大人になる話にしました。

――『絶叫』は一九七三年生まれの団塊ジュニアの女性が主人公で、『Blue』は平成元年生まれの男性が主人公。貧困、格差など、社会問題を描いた物語に時代ごとのトピックを織りこむ点は、共通しています。

葉真中 発想は近いです。ある期間を語るうえで、東日本大震災のように避けることのできない事象はありますが、言及する事象が二作であまりかぶらないように意識しました。『絶叫』を踏襲したところはありますが、あれはある人間の一代記のようなもの。今回は平成史という形を打ち出そうと決めました。最大の違いは、『絶叫』で避けた固有名詞を多用したこと。『絶叫』では、『東京ラブストーリー』のタイトルを出さずに、ヒロインが「セックスしよ」というドラマ、と書くなどした。『Blue』では固有名詞を出す方針にして、そこの感触は自分のなかで大きく違うところでした。

――小説を書く際、時代の事象とキャラクター、どちらから先に発想するのですか。

葉真中 基本的に事象が先で、このエピソードを語るにはどんな人物にするかと考えます。ただ、キャラクターが固まってくると、勝手に喋り出すことはある。作ったキャラクターに事象やエピソードを料理してもらう感覚に近い。僕の作品全般にいえることですが、人材派遣業やフリーターなど、時代や風俗を象徴する職業を意図的に登場させています。

――『Blue』ではブルーと呼ばれる少年が一四歳の時に事件が起きる。

葉真中 子供のうちに大きい事件を起こす構成を考えました。平成史をやるからには、真ん中で事件を起こしたかった。平成一五年に事件を設定すると、元年生まれの主人公は一四歳。それより幼いとリアリティが怪しくなる。年齢と事件が起きるタイミングがはまったので、そこからプロットを書き始めました。

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最終更新:6/13(木) 11:50
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