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髭男爵・山田ルイ53世と推理作家・芦沢央が、当たり障りのない美談が偏重される世間に物申す

5/13(月) 7:00配信

Book Bang

一世を風靡した芸人たちに自ら取材したルポタージュ『一発屋芸人列伝』が「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」を受賞し、新刊エッセイ『一発屋芸人の不本意な日常』も好評の髭男爵・山田ルイ53世と、まるで実話怪談のようなリアリティーに「怖すぎる」と話題になり、本年度の山本周五郎賞にもノミネートされた『火のないところに煙は』の著者・芦沢央。ともにベストセラーを生んだ二人の著者が、当たり障りのない美談が偏重される世間に物申す! 

「お客様を裏切ってナンボ」の商売

山田 『火のないところに煙は』、最近読んだ本の中で、一番面白かったですよ! 僕が『一発屋芸人列伝』を刊行したとき、「新潮社出版部文芸」(@Shincho_Bungei)アカウントをフォローさせてもらったんですが、一時期狂ったようにこの本の話題をツイートしていて、「なんだ、これは?」と気になって(笑)。

芦沢 ありがとうございます。お声掛けいただけて、とても嬉しかったです。

山田 どこまでが事実かフィクションか分からなくて、読み終わっても逃げられないような怖さがありました。小説の中のものだと思っていた恐怖が、急に自分の近くに転送されてくる感じがたまらなくゾクゾクしました。僕がもうちょっと人気者だったら、このコメントで5倍ぐらい売れるのに! 

芦沢 発売前に書店さんにゲラ刷りを送ったら、「(怖すぎて)お店に置きたくないので、注文しません」というFAXが届いたりして、てちょっとやり過ぎたかと心配していました。山田さんはミステリ小説がお好きなんですか? 

山田 スティーブン・キングの『ニードフルシングス』や小野不由美さんの作品が昔から好きで……。

芦沢 私もです! 私のデビュー作『罪の余白』は、『ニードフルシングス』に影響されて書いた部分もあります。日常の中にある、ささやかな悪意や猜疑心が少しずつ積み重なっていってうねりになっていく――という構造にグッときて。

山田 あぁ、6月に文庫化される『許されようとは思いません』にも、まさしくそういう話がありましたね。あれも怖かった。芦沢さんの作品には、もし主人公が自分でも、恐ろしい事態に巻き込まれるのを回避できないだろうな、という気になってしまう恐怖があります。

芦沢 そこが一番の目標だったので嬉しいです。怖い小説って、「自分だったらこんなことしない」と読者に思われたら終わりだと思うんです。

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最終更新:5/13(月) 7:00
Book Bang

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