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【張本勲の“喝”】日本ハム・清宮幸太郎が令和を代表するバッターになるためには/張本勲コラム

5/14(火) 10:59配信

週刊ベースボールONLINE

 まずい技術がケガの原因になることもある。日本ハム・清宮幸太郎の場合は右手のグリップが悪い。小指を中途半端にグリップエンドにかけている。グリップはしっかりと指全体で握るのが基本だ。もしくはイチロー(元マリナーズほか)のように小指は完全に遊ばせてしまう。かつての大打者である藤村富美男さん(元阪神)、あとは田淵幸一(元阪神ほか)もそうだった。

 小指をグリップエンドにかけるバッターは少しでもバットを長く持つことで遠心力が増し、ボールを遠くへ飛ばすことができると思っているのだろうが、左バッターであればインパクトの瞬間に右手に大きな衝撃が加わる。しかも清宮は左手の握りが甘いからなおさらだ。ケガも当然、予想された。

 ワンちゃん(王貞治)はあれだけ短くバットを握っていても、次々とホームランを打っていた。きちんとしたスイングをすればボールは必ず飛ぶ。グリップで言うなら、やはり5本の指でしっかり握るのが基本だ。インパクトの瞬間に力をボールへ伝え、ピッチャーが7つも8つも投げ込む変化球に対応するためにも、小指1本もおろそかにしてはならない。

 清宮はスイングにも問題がある。金属バット時代のクセなのか左手をかぶせる意識が強過ぎる。どんなタイプのバッターでも同じだが、左バッターであれば左手の甲が返って上を向いてはならない。こねるような打ち方になりがちだし、手の甲を返しながら打つと当たりが良くても打球にドライブ回転がかかり、ボールはフェンスの手前で失速してしまう。きれいなバックスピンをかけることができれば、入るか入らないかという打球が最後にスーッと伸びてスタンドに飛び込んでいくのだ。

 人間の体のつくりから、フォロースルーで最後まで左手を離さなければ自然に左手の甲は返っていく。ワンちゃんのようなホームランバッターは必ず最後に左手が離れた。打ち方自体には個性があってかまわないが、清宮がこれからホームランバッターを目指すなら改善していかなければならないだろう。

 ステップにも、もったいなさを感じる。右足を引いて体を開きながら構えるのはいいとしても、ステップしたときも左足に対して右足が少し開いている。逆だ。これでは体が開き、外のボールがかなり遠くになる。一足分ほど踏み込まなければダメなのだ。だから外目のボールを右中間にぶち込むことができない。

 アウトコースの甘いボールというのが、右中間へ一番遠くまで飛ばすことができるボールだ。腕を真っすぐに伸ばすことができ、バットも長く使える。左バッターが右足を開くようにステップしてしまっては、アウトコースの甘いボールであっても左方向に流すしかなくなってしまう。右中間に引っ張ることができない。かつての清原和博(元西武ほか)もそうだった。

 いずれにしても、清宮の持っている才能には疑いの余地がない。令和の時代を代表するようなバッターになってもおかしくはないだろう。まずはケガをしっかりと治し、技術をどう修正しながら、さらにスケールの大きなバッターへと成長していくのか。その歩みをじっくり見ていきたいと思う。

●張本勲(はりもと・いさお)
1940年6月19日生まれ。広島県出身。左投左打。広島・松本商高から大阪・浪華商高を経て59年に東映(のち日拓、日本ハム)へ入団して新人王に。61年に首位打者に輝き、以降も広角に打ち分けるスプレー打法で安打を量産。長打力と俊足を兼ね備えた安打製造機として7度の首位打者に輝く。76年に巨人へ移籍して長嶋茂雄監督の初優勝に貢献。80年にロッテへ移籍し、翌81年限りで引退。通算3085安打をはじめ数々の史上最多記録を打ち立てた。90年野球殿堂入り。現役時代の通算成績は2752試合、3085安打、504本塁打、1676打点、319盗塁、打率.319

写真=BBM

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最終更新:6/14(金) 10:56
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