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「米中対立」めぐる米高官の人種偏見発言

5/14(火) 12:13配信

Wedge

日本が他人事ですませるべき問題ではない

 一方、今回のスキナー発言は、日本が他人事ですませるべき問題ではない。日本は中国同様にアメリカにとって「非白人国家」すなわち異人種にほかならないからだ。

 しかも日本にとって皮肉なのは、アジアにおいて最も頼りにされるアメリカの同盟国として、台頭する中国の脅威に共同対処していこうという立場にあるという事実だ。

 この点、もしトランプ政権の長期戦略が「非白人国家」中国との対決ということになれば、日本の置かれる立場はどうなるのか、という疑問にぶつかることになる。そして、アメリカが今後将来的に「白人対非白人」という人種的色分けで外交を推進していくことになるとすれば、やがて日本国内で、アメリカとの同盟関係そのものに対する批判論を助長させることにもなりかねない。

 こうした点からも、わが国としても、思慮分別を欠いた今回のような、害多く益少ない米政府の戦略論に対しては、同じ同盟国であるオーストラリアと同様に、米側にその真意をただし、日本の立場をしっかり説明していくべきだろう。なぜなら、かつて太平洋戦争につながった日米関係史を振り返ると、米国内で高まった「黄禍説」に反発する形で、わが国で軍部を中心に反米主義が勢いづいた経緯があるからだ。

 なお、筆者はかつて、このような「文明の衝突」という概念については、その“産みの親”ともいうべきサミュエル・ハンティントン博士と彼の研究室で二時間近くに渡り、議論したことがある。

 その際、中国との関連で「(博士は論文の中で)日本も西側とは異質の文明であることを明確に指摘しているが、それでは日米関係の将来はあまり楽観視できなくなるのではないか」とただしたのに対し、以下のような歯切れの悪い答えが返って来たことを付記しておきたい:

 「日米間に存在してきたような経済的諸問題は今後も存続していくだろうし、日米安保協力・同盟関係も変わらないだろう。しかし、長い目で見た場合、日米関係がどうなるかは、大国としての中国の成長・発展いかんと、それに日本がどう反応していくかにかかっている。そのありようが、日本の対米関係を決定づけるだろう」(1997年集英社刊、拙著『日本救出』参照)

斎藤 彰 (ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長)

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最終更新:5/14(火) 12:13
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