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人手不足が深刻ないま、建設業界は“ロボット革命”を求めている

5/14(火) 8:30配信

WIRED.jp

人間とロボットが建設現場で協働する

建設の自動化にメリットがあるというのは、もはや机上の理論ではない。ロボットの有用性を認める研究者は次第に増えている。わたしはニューヨーク大学アブダビ校で、学部の垣根を越えて建設業界のイノヴェイションを研究するチームを指揮しているが、以前はチューリッヒにあるスイス連邦工科大学で大学院生を指導していた。

そこで研究していたのは、デジタルファブリケーション(デジタルデータに基づくものづくり)が生産性に与える影響についてだった。テクノロジーはAECビジネスの味方になり得るという考えは、そのころに得た知見に裏付けられている。

壁の建設に要するコストと時間を、人力で建てた場合とロボットを使った場合とで比較すると、作業の複雑さが増すにつれて、自動化したほうが効率的であることがわかった。そのうえロボットを使って建てる場合には、工期の後半であっても大幅なコスト増や遅延を伴うことなく柔軟に調整を加えることができる。

これは建築家、設計者、技師、建設業者にとって都合がいい。最終的に、単純な構造のものであれば人力を使うほうが効率的であり、これからの時代は人間とロボットが同じ建設現場で一緒に働くようになるだろうとの結論に至ったのだ。

ドバイは3Dプリンターの活用を義務づけへ

もちろんこうした研究から学ぼうとするには注意が必要だ。現実には建設プロジェクトごとに異なる課題があり、所有者、設計者、建設業者、一般の人々の間に込み入ったやり取りが発生する。研究材料として意図的に協力体制が整えられている壁建設プロジェクトのようにはいかない。それでもこの研究結果は、建設の自動化にはメリットがあるという新たな証拠を示している。

AEC業界には、すでにこのことに気づいている人もいる。フランク・ゲーリーやザハ・ハディドなど、設計にロボット技術を取り入れることを早くから提唱していた建築家もいるし、建設の自動化を積極的に進めている都市もある。

例えばドバイは新たな条例によって、25年までにすべての新築建造物を3Dプリンター製資材を25パーセント使用して建設することを義務づけている。建設業者でも先進的な企業には、橋梁の塗装、コンクリート吹き付け、溶接、鉄筋組み立て、道路の補修などの単純作業をロボットに任せようとする動きが出ている。

しかし、多くのメリットがあるにもかかわらず、建設の自動化はまだ普及していない。舞台裏での議論を表舞台へと移すには、大きな変革がこの先いくつも必要になるだろう。

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最終更新:5/14(火) 8:30
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