ここから本文です

新卒一括採用は変わらない

5/14(火) 12:13配信

Wedge

 経団連と大学関係者は、複線的で多様な採用形態に移行すべきだ、との提案をまとめましたが、特に大きな変化は起きないだろう、と久留米大学商学部教授の塚崎公義は考えています。

新卒一括採用に大きな変化との期待もあるが……

 経団連と大学関係者から成る「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」は、採用等に関する共同提案をまとめました 。多くの項目の中で、本稿が注目しているのは「新卒一括採用(メンバーシップ型採用)に加え、ジョブ型雇用を念頭においた採用も含め、伏線的で多様な採用形態に、秩序を持って移行すべき」という項目です。

 これに関しては、「新卒一括採用が大きく変わる」という見方もあるようですが、筆者は特に大きな変化は生じないだろう、と考えています。

従来型の採用も残る……これが中心に

 複線化ということですから、従来型の採用も残ります。そうなれば、これが採用の圧倒的中心として残る可能性が高いでしょう。

 インターンシップの活用については、採用面接に代えて、あるいは採用面接の補強手段として用いられるのが普通でしょうから、「新卒一括採用」の一形態という理解で良さそうです。

 ちなみに、共同提案ではインターンシップで得た学生情報を採用に活用するか否かは「継続的に検討する」とありますが、それではあまり活用されないでしょう。採用活動に直結するのであれば、企業としてもコストをかけて実施するインセンティブがありますが、そうでなければ実施のインセンティブがありませんから。

 ジョブ型採用は、中途採用については増えるでしょうが、学生の採用に関しては増えそうもありません。理科系の大学院生であれば、学生時代の研究の成果で自分を即戦力としてアピールできるかもしれませんが、それ以外の場合には転職組に勝てないからです。

ジョブ型採用は即戦力を求めるので学生は不利

 ジョブ型採用というのは、「我が球団は投手を募集します」といった募集を行うものですから、即戦力を募集するものであって、過去に投手の経験と実績が無いとなかなか採用されません。

 採用された側も「私は投手です。今は偶然この球団に所属していますが、将来は他球団の投手になるかも知れません」という選手になるわけです。

 一方で、メンバーシップ型採用というのはポテンシャル採用です。「野球選手募集。資質があれば未経験者でも可」といった募集を行なうものですから、「私は運動神経が優れていて、気力も体力もありますから、鍛えていただければ立派な野球選手になれると思います」と言えば採用されるかもしれません。

 採用されたら、「私は当球団の選手です。今は偶然投手をやっていますが、将来は他のポジションに変わるかもしれません」という選手になるわけです。

 メンバーシップ型であれば、学生でも採用される可能性は高いでしょう。しかし、ジョブ型になると、学生が採用される可能性は格段に低くなります。日本の大学(文系)の多くは、企業の即戦力を育成する所ではなく、「論理的に考える訓練」等をして学生の「地頭」を鍛えようとする所だからです。

 球団であれば、高校野球等の経験と実績から即戦力となる学生を選別する事が出来るため、ジョブ型採用も可能なのでしょうが、それ以外は難しいのです。

1/3ページ

最終更新:5/14(火) 12:13
Wedge

記事提供社からのご案内(外部サイト)

月刊Wedge

株式会社ウェッジ

2019年9月号
8月20日発売

定価540円(税込)

■特集「看取り」クライシス―多死社会が待ち受ける現実
■信用スコア 利便性の先に潜む「落とし穴」
■世界通貨を目指す「リブラ」構想の限界

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事