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脱・デフレ政策がもたらす「国民の資産減少」という異常事態

5/14(火) 9:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

今回は、脱デフレ政策によって引き起こされる衝撃的な現象を中心に解説します。※富裕層だけが存在を知るプライベートバンク、ピクテ。この金融機関の歴史は古く、富裕層の資産運用を通じて築いたノウハウがあります。本連載では、ピクテの投資手法をわかりやすく紹介しながら、初心者の資産運用にも役立つ投資テクニックを紹介します。

脱デフレ政策で「預貯金安全神話」は崩壊

インフレ目標2%、これから日本はインフレの時代――。そう言われて久しくなりますが、多くの日本人に実感は少しもないかもしれません。それは私たちが長くデフレーションの時代を過ごしてきたからでしょう。しかし、インフレ経済の到来がもたらす衝撃は、私がかつてイギリスで体験した通り、凄まじいものです。

1998年頃から前年比マイナスに転じた日本の消費者物価指数(CPI)は、そのまま15年近く下落傾向にありました。CPIの継続的な下落は、日本経済がモノの値段が下がり続けるデフレ状態にあったことを端的に示しています。

この15年の間に、デフレによってもたらされたのは、日本経済の体質変化です。

企業にも消費者にも物価は「上がらないもの」「緩やかに低下するもの」という意識が植え付けられてしまいました。企業はモノやサービスの価格を引き上げることができなくなって売り上げや収益が低迷し、人件費や設備投資を抑える方向へ向かいました。賃金が上がらなければ従業員(消費者)は消費を抑えてモノを買わなくなり、企業はやむを得ずモノやサービスの価格を引き下げる・・・その繰り返しで、日本経済にデフレ体質が定着していきました。景気低迷によってデフレが起こり、デフレによって景気低迷の長期化がもたらされてきたわけです。

消費者も「少し待てば安く買えるようになる」ことが分かっているのですから消費を先送りして、一段とモノが売れなくなり・・・という悪循環に陥ります。それでは、消費を先送りすることによって余ったお金はどうなるのでしょうか。物価が下がり続ければ相対的に現金の価値が上がることになるので、預金しておくのが一番賢い選択肢となります。

株式投資はうまくいかなければ元本を目減りさせてしまいますが、元本保証の預金で保有しておけば、たとえ預金金利が0%に近い状態であってもデフレによって預金の実質的な価値が高まるからです。モノの値段が下がり続けると、相対的に現金の価値は上がり続けます。現金を預貯金として保有していれば安全で、リスクのある投資をあえて行う必要はまるでありません。利子などつかなくても、大本のお金の価値が上がり続けるなら、「元本さえ減らなければよい」ことになります。そして実際、そのような考えが一般的になったのです。

ただし、2012年12月26日には、長びく景気低迷による国力低下からの脱却に向けた取り組みが始まりました。第二次安倍晋三政権の誕生とともに、政府と日本銀行は政策を連携させて「デフレ脱却と持続的な経済成長の実現」を目指すことを宣言したのです。実際、「物価安定の目標」を消費者物価の前年比上昇率2%と定めて、脱デフレを意識した政策を導入しました。

しかしながら「2年で2%」としたその目標は、達成時期が数回にわたり先延ばしされ、現在までのところ達成できていません。とはいえ、個別に見ると、値上げへと踏み切った商品やサービスも多く、日々の買い物で物価上昇を実感している方も多いのではないでしょうか。言うまでもありませんが、我々消費者の立場からすれば、物価が上がるだけでは生活が苦しくなりますから、政府は同時に企業への賃金アップも期待・要請しています。

現実問題として、物価上昇も賃金アップも今のところ、政府・日銀の思惑通りには進んでいません。しかし、その達成に対する政府の確固たる意志は強く感じます。いずれにしても、今後、物価が日本銀行の目標通りに上昇を続けることになれば、限りなく0%に近い金利の預貯金にお金を預けていたのでは、増えるどころか毎年2%ずつ価値が目減りしていくという「異常事態」が起こってしまうのです。

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最終更新:6/18(火) 10:42
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