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ウマの驚きの事実が続々発覚、大規模ゲノム研究が定説覆す

5/15(水) 7:10配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

史上最低の遺伝的多様性、人知れず絶滅していた2つのグループほか

 脚にふさふさとした毛が生えたクライスデール種、体に斑点があるアパルーサ種、黄金の毛並みのアハルテケ種など、人間と一緒に暮らすウマは現在、約600種類にのぼる。現代のウマの仲間には、たくさんの「家系」が存在すると思っている人もいるかもしれない。

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 しかし、たとえばもしあなたが今年のケンタッキーダービーに出走したサラブレッド種のオス20頭のDNAを調べたなら、その大半が、1700年に生まれた1頭の種馬まで遡るY染色体を持っていることがわかるだろう。その種馬はダーレーアラビアンという名前で、現存するオスのサラブレッドの95パーセントはこの個体につながっている。

 そしてこのたび、ヒト以外を対象とした過去最大規模のゲノム時系列の研究によって、人間による極端な品種改良の結果、家畜のウマの遺伝的多様性が極めて低くなっていることが明らかになった。研究結果は5月2日付けの学術誌「Cell」に発表された。

 今回の研究の上席著者で、フランス国立科学研究センター(CNRS)の分子考古学者のルドビク・オーランド氏によると、過去1000年の間に、すべての家畜ウマのY染色体の多様性が低下したという。

 こうした傾向に警戒が必要なのは、遺伝子の多様性が低いと、遺伝的な病気になりやすいからだ。ウマにはすでに、夜盲症や筋疾患などの障害が現れていると専門家は言う。

 今回の研究は、数万年にわたってアジアおよびヨーロッパに生息していたウマ278頭のDNAを調査したデータを元に、家畜ウマの進化の歴史を詳細に明らかにしている。論文によると、人間は紀元7世紀から、特定の形質を持つ個体を得るために、ウマを選択的に繁殖させてきた。家畜化はしかし、これよりもずっと早い時期に始められたと考えられる。

 同論文は、遺伝学者、考古学者、古生物学者、統計学者、コンピューター・サイエンティストを含む121人の科学者の協力を得てまとめられた。

「このプロジェクトでは、過去5000~6000年の間に行われてきたウマの家畜化と管理についての遺伝的な歴史を、すべて明らかにしようとしました」と、オーランド氏は言う。

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