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世界GP王者・原田哲也のバイクトーク Vol.9 「普通のライダーでもMotoGPライダーでも、基本は同じです」

5/15(水) 17:33配信

WEBヤングマシン

コーナーは早寝早起きが大切

1993年、デビューイヤーにいきなり世界GP250チャンピオンを獲得した原田哲也さん。虎視眈々とチャンスを狙い、ここぞという時に勝負を仕掛ける鋭い走りから「クールデビル」と呼ばれ、たびたび上位争いを繰り広げた。’02年に現役を引退し、今はツーリングやオフロードラン、ホビーレースなど幅広くバイクを楽しんでいる。そんな原田さんのWEBヤングマシン連載は、バイクやレースに関するあれこれを大いに語るWEBコラム。第9回は、インストラクターとして「何が基本中の基本なのか」をお話した件について。

TEXT:Go TAKAHASHI

ハイレベルなMotoGPで20歳がポールポジション

アメリカズGPでは23歳のアレックス・リンス(チームスズキエクスター)が勝ちましたね。スペインGPでは20歳のファビオ・クアルタラロ(ペトロナスヤマハSRT)がポールポジションを獲るし、レース後のテストではトップタイムだし、若手が元気なのはレース界にとってすごくいいことだと思います。若手が活躍してくれると、単純に面白いですしね。

クアルタラロはもともと鳴り物入りでモト3に参戦してきたライダーです。’15年の開幕当時、彼はまだ15歳でしたが、実力は折り紙付きでした。本来は16歳以上でなければモト3には参戦できないのですが、主催者のドルナがレギュレーションに特例を設けて彼が参戦できるようにした、というエピソードがあるほどです。

ところがモト3は2シーズンで2位表彰台が2回、モト2は2シーズンで優勝・2位表彰台とも1回ずつと、大きかった期待ほどの成績は残せませんでした。そんなクアルタラロでしたが、モトGPでは開花しましたね! スペインGPでポールポジションを獲得した時は20歳と14日で、最年少記録を達成。マルク・マルケス(レプソルホンダ)が’13年に成し遂げていた20歳と63日を塗り替えました。

モト2でもうひとつだったクアルタラロがモトGPで開花した理由のひとつは、ステップアップのしやすさがあると思います。今のところモト2にはトラクションコントロールが禁止されており、モトGPはOK。モト2からステップアップした若手が活躍できるのは、電子制御の恩恵が確実にあると思います。

僕の頃は大変でしたよ(笑)。2スト250ccから2スト500ccの乗り換えは超がつくほどシビアだった……と思います。レーシングライダーとしては与えられたマシンを乗りこなすのが当然なので、実はシビアかどうかなんてあまり意識してませんでしたが(笑)。当時は電子制御といっても良くてマッピングを2つから選べた程度。それも点火時期が少し変わるぐらいのものでした。トラクションコントロールなんて皆無です。「トラコンの『ト』の字はどこですか~?」「切らしてます~」ぐらいのもので、影も形もありません。だからスロットルを開ける時は慎重にしてました。

……なんて話をすると、「やっぱり4スト1000ccのモトGPマシンより2スト500ccマシンの方がスゴイんだ」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、決してそんなことはありません。確かに4スト1000ccは車重があるから滑り出しも穏やかに見えますが、パワーはハンパなくて加速力も猛烈で、しかも車重が重い分ブレーキングもハード。体力的には信じられないほどキツいと思いますし、テクニックもハイレベルです。

まぁ、いつの時代でも、どんなバイクでも、4スト1000ccでも2スト500ccでも速い人は何に乗っても速い!(笑)才能……と言ってしまうと身も蓋もないでしょうか? でも才能は間違いなくあって、ひとつはバイクの動きを感じ取るセンサーが鋭いこと、そしてもうひとつは走らせ方でしょうか。結局のところバイクを速く走らせるには、早く向きを変えて早く立ち上がること、これに尽きます。ちゃんと減速して、素早く向きを変えて、いち早く加速する。この基本は、4スト1000ccでも2スト500ccでも変わりません。もちろんパッケージによって多少の違いはありますが、基本的には同じと言っていいと思います。

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最終更新:5/15(水) 17:33
WEBヤングマシン

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