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国策自動車会社であるルノーも日産も、結局、生き残れはしないだろう

5/15(水) 9:00配信

現代ビジネス

日産+三菱は熨斗をつけて相手に贈れ

 いわゆる「ゴーン事件」に端を発した「ルノーV.S. 日産」さらには、「フランスV.S.日本」のつばぜり合いは泥沼化している状況だ。

 確かに、ルノーはフランスの産業史に重要な足跡を刻んでいる。1898年のクリスマス・イヴに、21歳のルイ・ルノーが三輪車をベースに改造した車で、それまでどの自動車も登れなかったモンマルトルの坂道を苦もなく登ってみせた。これに驚き感嘆した人々から、ルイはその場で12台分の注文を受けている。

 ルイ・ルノーは兄マルセル、フェルナンとともに翌年(1899年)、「ルノー・フレール社」を設立。商人だった2人の兄の資金も出資し、急成長し始める。

 日本が1867年の明治維新からようやく30年あまりたった頃に勃興した、ルノーおよびフランス自動車産業に、フランス人、特にエリートのボンボンであるマクロン大統領が強い誇りを持ち、執着する気持ちはわかる。

 また、日産自動車を含む日産コンツェルン(鮎川財閥)は、第1次世界大戦後の不況により経営危機に陥った久原財閥を引き継いだ鮎川義介によって誕生した。

 第2次世界大戦前の日本15大財閥のひとつでもある。この日産コンツェルンは、満州での事業の他、国内で現在のJXTGホールディングス、日産グループ、日立グループなどの企業群を抱えていた。

 こちらも血統正しい企業であり、両国政府が取り合いを繰り広げているが、企業とはノートルダム寺院のような「世界(文化)遺産」ではない。

 もちろん、筆者が企業を評価するときに「社風=歴史」を重視することはこれまでにも述べてきたが、あくまで評価の要素の1つにしか過ぎない。

 世界自動車産業界の中でのポジションや、潜在成長力、(真の意味での)技術力を冷静に評価すれば、ルノーも日産も投資に値しない企業である、もし、筆者が「誤って」どちらかの企業の株式を保有していたとしたら、即刻売り払うことになる。

 要するに日産(ルノーも)は、これからの自動車業界における「ババ抜きのババ」である。不幸にも自分の手元にやってきたら、素早く誰かに「パス」すべきである。

 もし、だれも受け取ってくれなければ、熨斗とおまけをつけて渡さなければならないのに、フランス政府が「是が非でもください」と懇願しているのだ。こんなチャンスは無い! 

 日本政府(法律上の日産の支配権は持っていないが……)が賢ければ、フランス政府にさっさと渡して、フランス人の税金で日本人の雇用を守るべきなのである。

 半導体、家電における歴史を見れば、下り坂の企業は「高く売れるときに売り払う」のが得策なのは明らかだ。もちろん成長力のある企業は、日本の中に温存すべきだが、「終わった」企業を抱え込んで、国民の血税を浪費したり産業の構造改革を遅らせるという、半導体や家電で犯した過ちを繰り返してはならない。

 もっとも、本サイト2018年12月17日の記事「パリから始まる反グローバリズムのうねりは『世界革命』に移行するか」(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/58957)で述べたように、7公3民という江戸時代の百姓よりもひどい(ちなみに江戸時代はおおむね4公6民から5公5民、現在の日本は4公6民)国民負担率に耐えかねている、フランス国民に税負担を押し付けるのは心苦しいが……。

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最終更新:5/15(水) 9:00
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