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「平成の敗北」から日本企業はどうすれば巻き返せるのか

5/16(木) 6:03配信

PHP Online 衆知(THE21)

「敗北の時代」を経てリベンジマッチが始まる

 平成の30年間は日本企業にとってどんな時代だったのか。その総括から対談は始まった。

 遠藤 「平成の30年間は、日本企業にとって敗北の時代だった。それを認めて日本はもう一度勝機をつかまなければならない」。経済同友会代表幹事の小林喜光さんの言葉に、私も同感です。入山さんはいかがですか?

 入山 残念ながら、私も同意見です。日本企業にとって敗北の時代だったと捉えています。平成元年と現在の「世界企業の時価総額ランキング」を見れば、それが一目瞭然です。
 平成元年は上位30社のうち24~25社は日本企業でしたが、平成31年は上位30位に1社もありません。最上位のトヨタ自動車でも30位以下。惨敗です。

 遠藤 その原因とは?

 入山 グローバルイノベーションで負けたことだと思います。今はIT技術のおかげで、世界共通言語の英語でサービスを立ち上げれば、創業直後にグローバル展開できる。アメリカや中国のベンチャー企業は、最初から50億人のマーケットを相手に、一気にプラットフォームを広げる戦略を採用してきました。日本企業が得意とする競争の型とは違います。
 経営学では、競争の型は大きく分けて3つあるとされます。
 スケールメリットを活かしてマーケットの独占を図る「IO型」、複数の企業が切磋琢磨しながら差別化して勝ち残る「チェンバレン型」、イノベーションを起こして勝ち抜く「シュンペーター型」です。現場のオペレーションに強い日本企業が強さを発揮するのは「チェンバレン型」。
 それに対して、今のグローバル競争の主流は、「シュンペーター型」で新しいことをどんどん始めて、一気に独占を図る「IO型」で勝つモデルです。フェイスブックやウーバー、エアビーアンドビーは好例です。だから、一気に時価総額が伸びたわけですが、日本ではこういったベンチャー企業が出てきませんでした。

 遠藤 グローバルなプラットフォームを作る競争が続くと、日本企業に勝ち目はない。
 とはいえ、私は日本企業がすべて負けているとは思っていません。平成の時代でも、トヨタ自動車、ユニクロ、オリエンタルランドなどは上手くやってきた。その共通点は、複数の企業の力を結集した総合力です。
 例えば、トヨタは部品のサプライヤーや鉄鋼メーカー、ユニクロも東レなどの協力によって、世界に通用する付加価値を生み出してきました。このように企業の力を集結すれば、日本企業も出る幕があると思います。

 入山 私もそう思います。それに、日本は1回戦では負けたかもしれませんが、まもなく2回戦が始まります。それは何かといったら、「モノ」の戦いです。
 今後、IoTが進み、モノを通じて利用者情報を収集・活用する時代になると、それに対応する良質なハードが求められる。つまり、『モノづくりの復権』が期待できるのです。
 良質なモノづくりができる国といえば、ドイツと日本です。日本のモノづくり企業にとっては、最後にして最大のチャンスが巡ってきます。この戦いに負けたら終わりですが、勝てば日本は巻き返せるはずです。

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最終更新:5/16(木) 6:03
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