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なぜベネズエラの決起は失敗に終わったのか?

5/16(木) 12:24配信

Wedge

 ベネズエラでのグアイド大統領による決起は失敗に終わった。これまでマドゥロ追い落としの反乱は10回以上存在するがすべて失敗している。そんなベネズエラで国民が囁いているのは、「わざとグアイドを自由にさせて、裏切り者を炙り出しているのだ」という疑念である。にわかには信じかねるが、それは本当なのか? ベネズエラ人の声を拾い上げてみた。

 まず今のベネズエラを理解するための政治・社会の基層について述べることにする。日々テレビや紙面で報道されるベネズエラの時事を理解するのは難しい。独裁・社会主義は政治が個人の詳細な生活までを規定するのだ。

なぜ軍幹部は国民の側につかないのか?

 国民を装甲車で引き殺す残虐な政権である。なぜ軍幹部はマドゥロ政権と離反しないのだろうか? そのような疑問を持つ方は多いに違ない。その回答は次のようなものだ。

 軍の幹部はこれまで甘い汁を吸い、多くの人権違反を犯している。蓄財金額は途方もない額であろう。いくら米国やグアイド周辺が「不正蓄財分の返金を請求しない」「犯罪を問わない」といっても確約とは思えない。国連による人権に対する罪で法廷に出される可能性もあるし、怒り心頭の国民にリンチされる可能性もある。

 さらにキューバのインテリジェンス組織のG2が張り巡らせた監視網により、反乱の試みは早急に摘み取られ、首謀者は殺されるか、刑務所送りとなる。

ベネズエラを象徴する3つの刑務所

 ベネズエラを理解するにはどんな刑務所があるかを知るのが一番手っ取り早い。この国で発達したのは、残念なことに拷問と犯罪手法、そして盗難とインフレに対抗するためのキャッシュレス経済である。日本で現金決算が中心であることは、誇るべきことなのだ。

1.墓場(別名 白い拷問)

 カラカス市内のベネズエラ広場近辺に位置する、国家情報部=SEBIN(Servicio Bolibariano de Inteligencia Nacinonal)本部の建物の地下5階にある。野球場とサッカー場も近くにあり、日本でも活躍したアレックス・カブレラ(所属ティブロネス・デ・ラ・グアイラ)のホームランを見るために私もよくその建物の前を歩いたものだ。

 この墓場には主要な政治犯・活動家が送られ、縦3メートル、横2メートルほどの白壁の狭い独房に閉じこめられる。独房は清潔で汚れがない。床に毛布、飲料用と排尿用の壺がふたつある。天井には監視カメラ。完全な沈黙が支配する。明りはついたままで、何日も何カ月も何年も閉じ込められる。

 殴る蹴る水攻めなどの暴力は少ない。何日も同じ姿勢をとらせる、頭に袋をかぶせその横の壁を監視棒でカンカンカンカンと叩くなど精神に響く拷問を行う。時間の感覚もなくなり、政府の冷酷無比、偉大な力におののき、精神が崩壊する。ハンガーストライキと自殺だけが抵抗の手段となる。もともとキューバや旧ソ連圏で政治犯を入れるために作られたものである。

 私の記憶違いでなければ、ベネズエラではキューバのG2の力を借りてチャべスの元側近のロドリゲス・トーレス(Rodriguez Torres)将軍が作ったものだ。だが彼はマドゥロと袂を分けたため、今はどこかの刑務所に入っている。

Helicoide(ヘリコイデ)

 元はといえばカラカス市内にあるショッピングセンター。1950年代のオイルブームでベネズエラが世界でも有数に豊かだったときの象徴といえる螺旋状(ヘリコイデの意味)の形をした建物。現在はSEBINの事務所があり、いつの間にか刑務所も併設された。

 政治犯、一般犯、SEBINに身代金目当てで誘拐された金持ちの子女などが入れられる。密集しており、ネズミやゴキブリが這いまわる。水、ベット、電気、トイレもない監獄部屋もある。殴る、蹴る、張り付けなどあらゆる暴力が振舞われる。それを避け、かつ良い部屋に移るには、数千ドル、数万ドル、数十万ドルの賄賂を看守他に渡す必要がある。囚人の家族は破産することも多い。まさにゆすり、たかり、暴力のベネズエラを象徴している。

コカインマフィアの極楽刑務所

 主に裕福なコカインマフィアが入れられる。基本的に運営はマフィア自身による。中にはプールやディスコ(ひとつはTokioと呼ばれる)があり、シェフも一流である。マシンガン他の武器の携行を許される。外出時には警官が護衛してくれる。中から部下に指令を出すことができるので、刑務所のある町は彼らに支配される。

 今回のマドゥロへの反逆で逮捕された200名以上は、空き具合によって墓場かヘリコイデのいずれかに送られることになる。もちろん、まともな裁判はない。

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最終更新:5/16(木) 12:24
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