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クインシー・ジョーンズが掘りおこした名曲「ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ」【ジャズを聴く技術 】

5/16(木) 15:08配信

サライ.jp

第6回ジャズ・スタンダード必聴名曲(3)「ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ」

文/池上信次
今回は第4回で取り上げた、アート・ペッパーの「一期一会」セッションで演奏されたスタンダード曲、「ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ」を紹介します。

「ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ(原題:You'd Be So Nice To Come Home To)」は、ブロードウェイ・ミュージカルの巨匠ソングライター、コール・ポーター(1891~1964年)によるもの。ブロードウェイ・ミュージカルでは、多くは作詞・作曲が分業ですが、ポーターはその両方をこなす天才的ソングライターです。ときにアブない言葉を織り交ぜたひねりを効かせた歌詞、転調やリズムの変化を使ったドラマチックな曲想など、ポーターの楽曲の特徴は、とくにジャズ演奏においては、歌手にも楽器演奏者にも魅力的なものでした。というわけで「ナイト・アンド・デイ」「ラヴ・フォー・セール」「ビギン・ザ・ビギン」「エニシング・ゴーズ」など多くのポーターの楽曲がジャズ・スタンダード曲となって現在も演奏され続けています。

さて、「ユード・ビー・ソー~」ですが、その昔は「帰ってくれたらうれしいわ」という邦題で呼ばれていました。しかしこれは誤訳ということで次第に使われなくなり、現在では「ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ」という長い原題カタカナで表記されています。これは文法的にはかなりまわりくどい表現ですが(これもポーターらしさでもあるのですが)、「あなたのいる家に帰って行けたらなんと素敵なことだろう」という意味になります。これは1943年の映画『サムシング・トゥ・シャウト・アバウト』の主題歌として書かれたもの。映画はヒットしなかったようですが、曲は、受賞はできなかったもののアカデミー賞主題歌賞にノミネートされ、映画公開同年にジャズ・ヴォーカリストのダイナ・ショアがこの曲のシングル盤をリリースして大ヒットとなりました。当時は第2次世界大戦中で、この歌詞が共感を得たのがヒットの理由のひとつでしょう。

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最終更新:5/16(木) 15:08
サライ.jp

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