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『スケート・キッチン』NYのガールズスケートクルーが考える、“女性のためのホーム”が必要な理由

5/16(木) 12:02配信

リアルサウンド

 ニューヨークを拠点に活動するガールズスケートクルー、“スケート・キッチン”を主演に迎えた映画『スケート・キッチン』が公開中だ。

スケート・キッチンのクルーたち【写真】

 第34回サンダンス映画祭で絶賛され、各国の映画賞を受賞した本作は、2011年よりMiu Miuが始めたプロジェクト『Miu Miu Women’s Tales』(Miu Miu【女性たちの物語】)の1本として、2016年にクリスタル・モーゼル監督によって発表された『That One Day』という短編作品が元になっている。今回、『スケート・キッチン』として長編映画化されるにあたり、スケート・キッチンのメンバーのほか、ウィル・スミスを父に持つ、『幸せのちから』のジェイデン・スミスも出演している。

 さまざまな人種的バックグラウンドをもつ少女たちは、ジェンダーやセクシュアリティについての議論が活発にされる今、ニューヨークの街でどう日々を生きているのだろうか。スケート・キッチンにクルーであるアジャニ・ラッセル(インディゴ役)、カブリーナ・アダムス(ルビー役)、ジュールズ・ロレンゾ(イライザ役)、ブレン・ロレンゾ(クイン役)の4人に話を聞いた。

■「女の子が一丸となってサポートし合う」

ーースケート・キッチンが映画になると知った時、どう感じましたか?

ブレン・ロレンゾ(以下、ブレン):今回長編映画化される前に、Miu Miuの『That One Day』という作品があったので、その続きとして作れることはシンプルに嬉しく感じました。でも特に、「また映画になる!」という興奮があったわけではなく、もう1回しっかり作り上げていこうという気持ちだった。

ジュールズ・ロレンゾ(以下、ジュールズ):すでに監督も含めてスタッフもみんな友達で、一緒に活動していたので、映画を作ることになったのは自然な流れだったと思う。

アジャニ・ラッセル(以下、ラッセル):普通の映画だと、主人公の女の子に対していじわるな女の子がいてーーというストーリーラインが多いと思うけど、『スケート・キッチン』は女の子が一丸となってサポートし合う映画になっている。白人だけじゃなくて、ヒスパニックや黒人など、いろんな人種の人が前に出てくるのも嬉しかったわ。今はInstagramなどのSNSが若者世代の行動のベースになっていて、映画の中にも出てくるけど、『スケート・キッチン』は面と向かって人と触れ合うことを描いていると思います。

カブリーナ・アダムス(以下、アダムス):映画になることはすごくいいことだし、実際に公開されて、どんな反響があるか楽しみです。

ーー制作にあたり、監督とは長い間ともに過ごしたり、一緒に暮らしていた時期もあったんですよね。

ジュールズ:クリスタル監督と一緒にいるときに、監督が私たちの日常の中から気になることをメモして、それを映画に取り入れていきました。生理について話すシーンとかは、実際に私たちが話していたこと。映画を撮るために何かした、というよりは、いつも通り自然体でいた私たちを、監督がノートをとって映画に反映した、というほうが多いわ。

ラッセル:セリフも用意はされていたけど、実際に日常で話していた会話を多く盛り込んでいたので、あまりわざとらしくない感じで演技できたと思う。

■「自分が何者か、忘れてはいけない」

ーースケートパークで男の子と対立するシーンもありましたが、ああいうことはよくあるんですか?

ジュールズ:映画の中だと、男の子と女の子が対立しているけど、実際は友達同士のスケーターが多いから、あからさまに嫌がらせをしてくることはそんなにないです。どちらかというと、違う仲間同士、男の子同士の喧嘩のほうが多いかも。

ラッセル:でも、パークで女の子も男の子も同じトリックを練習しているのに、女の子だけに、聞いてもいないアドバイスを嫌味な感じでしてくることはあるよ。

ーースケート・キッチンは「女性はキッチンにいるべき」という固定概念を覆すために結成されたクルーですが、ニューヨークで暮らしていてそういう感覚を抱くことは多いですか?

全員:(それぞれ口々に)ありすぎる!

ーーたとえばどんなこと?

ジュールズ:まったく知らない男の人が後をつけてきたり、いきなり番号を聞かれることは頻繁にあります。ストリートを歩いていると、キャットコールされたりは日常茶飯事だよね。

ラッセル:私はナイフを持って追いかけられたこともあるし、肉体的にも精神的にも、女というのを理由に窮屈な思いをすることはたくさんあります。

アダムス:私たちはInstagramをやっていて、そこからクルーのことを発信しているんだけど、一方的にフォローされているだけなのに、「なんでフォロー返してくれないの?」と聞かれたり。私たちからしたら「知らないよ!」という感じだけど、しつこく話しかけられたり、それを無視したら不愉快な言葉を浴びせてきたりということもあります。

ジュールズ:もちろん、本当に私たちに影響を受けて「ありがとう」と声をかけてくれる人もいるんだけど、私たちがフォロワーが多いという理由だけで、話しかけてくれる人もいるんだと思う。

ーー日本でも、Instagramが若い女の子の生活のベースになっていますが、どうやって使うのがいいんでしょうね。

ブレン:自分の目的のために最大限に活用はするべきだけど、そればかりに頭をとられると支配されてしまうからダメ。自分のキャリアも作れるし、いろんな繋がりからコラボレーションが生まれることもあるけど、それをメインにしちゃうとバランスが崩れてしまうと思う。

ジュールス:Instagramに限らずだけど、「自分が何者か」というのを忘れてはいけないと思う。

ーーあなたたちにとって、スケート・キッチンとはどういう存在ですか?

ラッセル:スケート・キッチンは、私にとってはホーム。家や家族みたいなもので、どこに行っても繋がっている。自分の土台でもあるし、モチベーションの源でもあります。

アダムズ:私にとっては友情であり、自分を奮い立たせてくれるものかな。

ブレン:有色人種や若い世代だけではなく、すべての女性が自信を持てるためのホームになるべき場所だと思うわ。

ジュールス:男性社会の中で、女の子が居場所にできるスポットが少ないから、それを争ったり互いに蹴落としたりしがちだけど、スケート・キッチンはみんなでサポートし合うというひとつのムーブメントだと思ってる。自分のモチベーションでもあるし、エンパワーしてくれる。女性みんなで立ち上がろうということを伝えるために存在していると思います。

若田悠希

最終更新:5/16(木) 12:02
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