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柴田理恵60歳、“おばさん”の記号をあえて笑顔で背負う理由

5/16(木) 11:00配信

文春オンライン

「女だけでも笑いがとれるようになりたいね」と夢を語った

 演劇で食べていきたい。お笑いも好きな自分を活かせる劇団はどこか。熟考の末、柴田は当時爆発的な人気を誇っていた佐藤B作主宰の劇団、東京ヴォードヴィルショーの門を叩く。劇団員の募集はなかったが、開かずの扉を叩き続け、無理やり体をねじ込ませた。

 柴田はここで演劇の楽しさを存分に味わい、やがて、いつか叶えたいと願う夢も生まれた。

「当時、特にお笑いでは、女は男の添え物みたいでした。ヒロイン役とブス役がいれば成り立ったんですよ。でもね、東京ヴォードヴィルショーと同じくらい人気のあった東京乾電池って柄本明さんたちの劇団には、お姉さん格の女優に松金よね子さん、岡本麗さん(非所属だがゲスト出演)、田岡美也子さん、もう少し下に角替和枝さんがいたんです。

 私たちは添え物的な存在なのに、東京乾電池は女たちだけでガンガン作っていく即興芝居をやってた。あれに憧れて。久本と一緒に見に行って、『ああいう風に、女だけでも笑いがとれるようになりたいね。私たちはまだまだ添え物だけど、いつか男たちを向こうに回して、女だけでお客さんを笑わせられるようになりたいね』って、なんにもできない頃から夢を語ってました」

 東京ヴォードヴィルショーに骨をうずめる覚悟だった柴田の転機は、意外にも早く訪れた。劇団員になって3年目のことだ。

 新劇出身者たちが作った東京ヴォードヴィルショーは10周年を迎え、より本格的な芝居を目指すようになる。しかし柴田たち若手は、もっと馬鹿なことをやり切りたかった。

 当時、東京ヴォードヴィルショーには喰始という鬼才の作家がいた。彼のもとで初めて若手公演を行ったとき、喰始は柴田たちに「ちんぽこがどんなにすごいかを世の中に宣伝するCMを考えてこい」と妙なことを言った。

 お題はなんであれ、自分たちで一から考える初めての作業。若手にはこの上なく新鮮だった。ひとつことを真剣に考え、「これ、面白いじゃない!」と言われる喜びを知った。添え物ではないと感じる瞬間があったのだ。

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最終更新:5/16(木) 13:57
文春オンライン

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